2014 Fiscal Year Research-status Report
心機能を支える臓器間連関の解明による新しい心不全治療の開発
Project/Area Number |
26560211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60432639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
片野坂 公明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50335006)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカノセンサー / 分子生理 / ノックアウトマウス / 分子機能評価 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内では至るところで、伸展や剪断応力といった物理的な機械刺激(メカニカルストレス)が生じている。細胞の機械受容システムを介して伝達されるこのような刺激は、単に生体にとって不利益なストレスではなく、発生過程や臓器機能発現に不可欠な生体情報であることが次第に明らかになってきた。しかしながら、機械受容システムの分子的基盤は未だ解明されておらず、その生理的意義や病態発症における役割については、全く不明である。この問題の解決には生体内環境を再現・評価する医工学的方法論の開発と、機械受容チャネル分子を標的とした分子細胞生物学的解析ならびに遺伝子改変動物を用いた生理学的解析が必須である。 本研究では、これまでに我々が細胞実験レベルで同定したメカノセンサー分子をターゲットとして、各種の組織特異的ノックアウトマウスを作製した。このうち、心臓で特異的にメカノセンサー分子をノックアウトしたマウスの実験から、このメカノセンサーは、心臓が生理機能や正しい構造を保つために必須の分子であることを明らかにした(Katanosaka et al., Nature Communications, 2014)。さらに、現在は、心臓以外の多臓器で特異的にこのメカノセンサー分子をノックアウトした場合の、生理レベルでの表現型変化、または病態発症機構等を解析している。得られた結果は、大変ユニークで意義深いものであり、今後の発展が期待される。現在、これらの結果を論文として纏め、投稿準備をしている段階である。これらの実験結果から得られた知見をもとに、心機能を支える臓器間連関の分子基盤を解明することを通して、新しい心不全治療ターゲットを確立する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心臓でのみメカノセンサー分子の発現を抑制したノックアウトマウスについて、論文が出版されたこと、心臓以外の多臓器でのメカノセンサーノックアウトマウスを作製し、その表現型を解析したこと、さらに得られた成果から、臓器のメカニカル応答が多臓器機能を調節しているという実験事実を得たことから、大変順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で明らかになった心循環システムの各臓器における機械刺激受容機構が、生体の中では、空間・時間を超えてどのように干渉・補完しあうのか、詳細な多階層解析を行い、生体でのメカニカルシグナルを基盤として多臓器連関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
動物の繁殖数が予定より少なく、動物飼育に関わる費用が少し減ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り、動物飼育に関わる費用として使用する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] TRPV2 is critical for the maintenance of cardiac structure and function in mice.2014
Author(s)
Katanosaka Y, Iwasaki K, Ujihara Y, Takatsu S, Nishitsuji K, Kanagawa M, Sudo A, Toda T, Katanosaka K, Satoshi M, Naruse K.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Overexpression of LARGE suppresses muscle regeneration via down-regulation of insulin like growth factor 1 and aggravates muscular dystrophy in mice.2014
Author(s)
Saito F, Kanagawa M, Ikeda M, Hagiwara H, Masaki T, Ohkuma H, Katanosaka Y, Shimizu T, Sonno M, Toda T, Matsumura K.
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Journal Title
Hum Mol Genet.
Volume: 23
Pages: 4553-4558
Peer Reviewed
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[Journal Article] Involvement of S1P1 receptor pathway in angiogeniceffects of a novel adenosine-like nucleic acid analog COA-Cl in cultured human vascular endothelial cells.2014
Author(s)
Junsuke Igarashi, Takeshi Hashimoto, Yasuo Kubota, Kazuyo Shoji, Tokumi Maruyama, Norikazu Sakakibara, Yoh Takuwa, Yoshihiro Ujihara, Yuki Katanosaka, Satoshi Mohri, Keiji Naruse, Tetsuo Yamashita, Ryuji Okamoto, Katsuya Hirano, Hiroaki Kosaka, Maki Takata,Ryoji Konishi, Ikuko Tsukamoto.
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Journal Title
Pharmacology Research and Perspectives
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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