2014 Fiscal Year Research-status Report
長残光蛍光体ナノ粒子を用いた癌細胞の無励起光型バイオイメージング
Project/Area Number |
26560220
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西 真弓 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40295639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 謹子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80433332)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 長残光蛍光ナノ粒子 / in vivoイメージング / 担癌マウス / 無侵襲 / 低毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
長残光蛍光体は、近紫外~可視光を数分間照射すると数時間以上緑色などの可視光を発し続ける特異な光物性を示す物質であり、夜間安全表示や時計の文字盤などに広く使われている。この蛍光体の最大の特長は、従来の蛍光試薬や生物発光試薬の様な励起光の連続照射や発光基質の添加を要しないことであり、通常の蛍光イメージングで問題となる散乱光やバックグラウンド蛍光の妨害から解放されることを意味する。本研究では、医療に応用できる革新的プローブの長残光蛍光体ナノ粒子の開発に取り組み、このナノ粒子を用いて癌細胞の無励起光型バイオイメージングを目指した。癌特異抗体で標識した長残光蛍光体ナノ粒子を数分励起した後、担癌マウスに尾静注し、癌細胞の無侵襲かつ超低攪乱in vivoイメージングを行うことを目的とする。平成26年度は以下の課題に取り組んだ。 <1>長残光蛍光体のナノ粒子化:遊星ボールミルを用いて独自に作製した緑色、赤色および近赤外発光を示す各長残光蛍光体をナノ粒子化し、シランカップリング剤でナノ粒子表面を化学修飾する。遠心沈降法により粒子径が約50nm~300 nmのものを一旦粗分別した後、回転数の違いによりナノ粒子サイズ毎に分画する。また、液層合成法によるナノ粒子の直接合成プロセスを新たに構築した。 <2>長残光蛍光体ナノ粒子の物性評価:上記<1>で得られる各種蛍光体ナノ粒子の粒径サイズや用いる表面修飾剤の種類とナノ粒子の光物性の相関関係を明らかにし、最適な表面修飾条件を探索した。さらに、蛍光体ナノ粒子の検出感度、有効測定時間、有効深度等を検討する。 <3>長残光蛍光体ナノ粒子の抗体修飾:特定の癌細胞において過剰発現することが知られているHER2タンパク質を標的とした抗体を、以下の修飾反応を用いてナノ粒子表面に結合した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は主として長残光蛍光体のナノ粒子化とその物性評価、および長残光蛍光体ナノ粒子の抗体修飾を予定しており、主に研究協力者の多喜の指導の元に行う予定だあった。しかし、多喜が6月に京都大学から名古屋大学へ移動したため、新しい研究室の立ち上げ等に時間がかかり、予定が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は以下の課題に取り組む予定である。 <1>長残光蛍光体ナノ粒子による癌細胞イメージング:NIH/3T3培養細胞にher2遺伝子をリポフェクション法にてトランスフェクションし、HER2を発現する培養癌細胞を確立する。癌細胞を培養したマイクロプレート内に緩衝溶液に懸濁した抗体修飾ナノ粒子を分散させる。これを倒立蛍光顕微鏡で数分間励起した後、励起光を消灯し、無励起光条件下でビデオ撮影する。HER2(+)とHER2(-)の細胞系を比較し、蛍光強度から抗体の特異性を評価する。 <2>蛍光体ナノ粒子の毒性評価:長残光蛍光体ナノ粒子および量子ドット単体の毒性について、in vitroおよびin vivoの両側面から比較検討する。まず、MTTアッセイを用いたin vitro毒性試験を行う。次に、マウスに長残光蛍光体あるいは量子ドット単体を尾静注により投与する。種々の投与量を用い、投与後の体重減少を経時的に観察し、投与後、1週間、1ヶ月、6ヶ月において肝臓等種々の臓器を摘出し、パラフィン切片を作製してHE染色を行い、各臓器の組織を顕微鏡観察し、投与した分子による臓器の障害等を比較検討する。 <3>蛍光体ナノ粒子による担癌マウスイメージング:まずマイクロカテーテルを用いて<4>で作製したHER2発現培養細胞を免疫不全のスキッドマウスの背部に注入し、担癌マウスを作製する。次に、光励起したHER2抗体標識長残光蛍光体ナノ粒子を同マウスに尾静注し、経時的にIVIS Imaging Systemを用いてin vivoイメーングする。このシステムは共同研究利用を申請している京都大学放射線同位元素総合センターに設置のものを用いる。
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Research Products
(18 results)