2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロカプセル合成・複合技術の細胞選択性足場への応用
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26560236
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
土橋 敏明 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30155626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 進 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (70348142)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 足場 / 細胞接着 / 細胞増殖 / ゲル / 紫外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.紫外線照射ゼラチンマイクロカプセル足場の合成条件の検討において、異なるゼラチン種(ウシ、ブタ)を用いて得られるマイクロカプセルの最適合成条件をもとめた。これらはそれぞれ、アルカリ処理および酸処理により得られるためゼラチンの等イオン点が異なる。そのため、これにより表面電荷の異なるゼラチンマイクロカプセルを得ることができたこととなり、細胞種選択性の原因の一つの候補である表面電荷の影響を調べることができる。 2.紫外線照射ゼラチンマイクロカプセル足場およびシート状足場を分化度の異なる胃がん細胞(低分化型、中分化型、高分化型)に適用した実験から、分化度が低いほど、すなわち、悪性度が高いほど足場に対する接着性が悪いことが示された。また、マイクロカプセル合成時の紫外線照射量が大きいほどこの傾向が大きいことが分かった。 3.正常な線維芽細胞とがん化した線維芽細胞に対する電子顕微鏡観察では、細胞間の接着班や足場と接着している細胞膜付近の細胞骨格の構造において違いがみられることが分かった。 4.マイクロカプセルをいくつかの高粘性溶媒および界面活性剤と混合することによりクリーム状の懸濁液を作製することができた。また、この懸濁液を用いた線維芽細胞の細胞培養を試みた。実験の結果、線維芽細胞のマイクロカプセル足場への接着および増殖速度はクリーム状懸濁液と培地との混合比に依存して大きく変化することが分かった。したがって、正常細胞とがん化した細胞との比較や分化度の異なるがん細胞を用いた細胞種選択性の検討においても、混合比の最適化が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、マイクロカプセル合成の最適化が行われた。マイクロカプセルクリームの最適作製条件については継続中であるが、表面電荷の異なるマイクロカプセルが得られたこと、紫外線照射ゼラチンマイクロカプセルの細胞種選択性ががんの分化度によって違うことが新たに分かり、今後の新展開が期待され、当初計画を微修正して進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロカプセルクリームの最適化条件の検討の継続と表面電荷の異なるマイクロカプセルを利用した細胞接着・増殖における細胞種選択性の検討を当初予定に加えて行う予定である。
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Research Products
(2 results)