2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノ複合体で疾患エクソソーム内を制す「生体内ナノサージェリ-技術」の挑戦的開発
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26560240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
城 潤一郎 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (60511243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エクソソーム / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ナノテクノロジーを駆使して疾患エクソソームの内部情報を生体内で制御する技術(エクソソームの生体内ナノサージェリ-技術)を開発し、その疾患治療に対する有効性を検証することである。エクソソームの表面に対する抗体を修飾し、膜破壊ペプチドと制御因子を内包した生分解性ナノ複合体を作製する。このナノ複合体は、抗体により生体内で疾患エクソソームを捉え、そこで膜破壊ペプチドと制御因子を局所的に放出することで、エクソソーム膜に一時的な穴をあけ、その内部に制御因子を送り届ける。その結果、エクソソームの内部情報を生体内で制御することができる。これが本研究のアイディアである。本研究では、がん疾患に対してエクソソームの生体内ナノサージェリーを適用し、実験動物を用いてその治療効果を検証する。 平成26年度は、疾患エクソソームの抽出と生分解性ナノ複合体の作製を行った。悪性度の高いメラノーマ細胞株(B16F10)の培養上清から、超遠心法にてエクソソームを抽出した。エクソソームのサイズを動的光散乱(DLS)で測定したところ、約150 nmであった。フローサイトメータによる分析から、エクソソームの表面にCD9が存在開いていることがわかった。このエクソソームからRNAを抽出し、バイオアナライザーにて解析した。次に生分解性ナノ粒子の作製を試みた。ゼラチン水溶液へアセトンを添加することによってナノサイズのコアセルベーションを形成させた。これにグルタルアルデヒド(GA)を加えることによってゼラチンを化学架橋し、アセトンを蒸発させることによってゼラチンナノ粒子を得た。ナノ粒子のサイズはゼラチンの分子量を形成時のpHで、ナノ粒子の分解性は加えるGAの量で制御できた。ゼラチンナノ粒子への抗体修飾反応についても反応条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、「ナノテクノロジーを駆使して疾患エクソソームの内部情報を生体内で制御する技術(エクソソームの生体内ナノサージェリ-技術)を開発し、その疾患治療に対する有効性を検証すること」に対して、疾患エクソソームの内部情報の抽出と生分解性ナノ複合体の作製を行った。疾患エクソソーム内部情報の制御についても予備検討を開始しているため、おおむね計画通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
膜破壊ペプチドを用いた疾患エクソソームの内部情報の制御について最適化し、抗体を修飾、膜破壊ペプチドおよび制御因子を内包した分解性ナノ複合体を作製する。作製したナノ複合体の物理化学的性質とエクソソーム内部情報の制御効率を試験管内で調べるとともに、担がんマウスを用いて、生体内ナノサージェリ-によるがん治療効果とそのメカニズムについて検証する。
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