2014 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋機能の定量評価を目的とした実時間ずり弾性波映像法
Project/Area Number |
26560253
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山越 芳樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10174640)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | せん断波 / 超音波映像法 / 伝搬速度計測 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の硬さや張りなど筋組織の機能を定量的に評価したいという要求に対して2つの方法が提案されているが、定量性と安全性を併せ持つ手法は無い。ずり弾性波映像法に関する研究実績の上に、骨格筋の機能評価を目的とした新規ずり弾性波映像系を開発することが目的である。超音波カラーフロー画像の推定アルゴリズムの特徴を活用し、ここに新規波面再現法を組み合わせる方法であり、定量性、安全性、実時間性を持つ従来法とは本質的に異なる画期的な方法である。本研究では理論解析、シミュレーション、実験による有効性の確認を行うが、この方法は広く普及している超音波映像装置に外付けPCによる信号処理を加えることで、定量的なずり弾性波映像が簡便に得られる革新的な方法である。 整形外科では、従来からX線画像による骨格の形態診断が主に行われてきたが、近年、骨格を支える僧帽筋など「骨格筋の機能診断」への要求が高まりつつある。骨格筋の機能が評価できれば、筋ジストロフィーなど骨格筋由来の疾病診断、腱の修復治療における術中評価、リハビリテーションでの骨格筋機能の評価、整形外科に来院する重度の肩こり(骨格筋緊張)の診断や治療等に役立つと考えられている。 本年度は、この原理に基づく映像化装置を試作し、群馬大学IRBの承認の下で、24名の健常者に対して臨床実験を行った。健常者の僧帽筋のずり弾性波の伝搬速度の平均値は3.9m/sであり、この値は従来法であるARFI法での報告値とよく一致する値であった。この成果をまとめ、論文として公表すると共に、国内特許、国際特許の出願を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床実験を開始し、論文化、国内および国際特許の出願を行っており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験の過程でいくつかの課題が浮き彫りにされた。第一の課題は、小型の加振器の構築である。積層型圧電振動体、リニア振動アクチュエータを用いたが、より高効率で小型のアクチュエータを組み込んだ、映像システムを構築していく。第2の課題は、画像処理によるS/N向上の方法である。すでにフーリエ解析法を用いた方法を提案しているが、更なる高画質化を目指して新規画像処理法を検討する。これらの構築により、ずり弾性波(せん断波)による新規超音波映像法を構築できるものと考えている。
|