2015 Fiscal Year Annual Research Report
上腕動脈スティフネス計測の生理圧範囲外への拡張の試みと動脈硬化超早期診断への応用
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26560256
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
矢口 俊之 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 講師 (70385483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / スティフネス / 上腕動脈 / FMD |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の血管力学特性計測データより,動脈硬化の初期段階では,生理血圧範囲で血管に硬化が現れなくとも,高圧領域において硬化が現れる可能性に気付いた.そこで,上腕動脈を対象として高圧領域の力学特性を計測する方法を確立し,この仮説を検証した.経壁圧制御システムと血管径計測部および経壁圧制御に用いる密閉容器の試作と基礎特性評価を行い,主に若年被験者に対する計測によって経壁圧制御条件や撮像条件を検討した.経壁圧制御システムは血管径計測部の制御PCにより制御し,設定した圧波形を密閉容器に印加する.想定した負荷圧範囲±150 mmHg,リニアな圧変化速度2~10 mmHg/s,圧波形としてステップ波,三角波を出力可能な仕様として試作した.密閉容器内部にはリモートコントロールできるアクチュエータを介して超音波プローブを備え付けた.計測においては上腕に密閉容器を装着し,容器内圧を変化させて上腕動脈の経壁圧を制御し,これにより非侵襲的に経壁圧-血管径関係を求め,幅広い圧力範囲の血管のスティフネスを算出した.若年の被験者に対する基礎計測では,負荷圧力の変化速度が比較的遅い3 mmHg/sまでの場合,血管径の能動的な変化が大きく現れ,±7 mmHg/s程度が適していることが確認できた.しかし,血管平滑筋の能動的な収縮,拡張の影響は除去し切れないため,本法は血管壁のスティフネスを計測するためには適していないことが確認された.そこで,能動的な径変化を低減するため,圧負荷波形にステップ波を用いて圧力ひずみ弾性係数Epを計測した.被験者は加齢により動脈に変化が現れ始めると思われる中高年を対象とした.その結果,生理圧範囲では変化が無いが,高圧領域では血管に硬化が生じている場合のあることが確認された.このことから,高圧領域でのスティフネス評価が初期の動脈硬化の診断法として有用である可能性が示された.
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