2014 Fiscal Year Research-status Report
血圧測定による内皮機能低下現象の解明と新たな動脈硬化診断法への応用
| Project/Area Number |
26560257
|
|---|
| Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
矢口 俊之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70385483)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 動脈硬化診断 / 血管内皮細胞 / 血圧測定 / コロトコフ音 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
血圧計測時の圧平が血管壁に与える影響を調べるために，２年間にわたる研究を進めている．研究初年の本年度は，まず，ヒト上腕動脈に関して，現有するFMD/PMC計測装置を用い，内皮機能の指標としてFMD値，平滑筋機能の指標としてPMC値を，血圧測定による血管圧平の前後で計測した．具体的には，まず，FMD計測として，上腕にFMD/PMC計測用密閉容器を装着してから前腕部をカフで５分間駆血，血流を再開した後の上腕動脈の径拡張量を測定した．次にPMC計測として，容器内に陰圧をステップ状に負荷して上腕動脈を拡張させた後，上腕動脈の径収縮量を計測した．この後，一旦，容器を取り外し，市販の血圧計で血圧を１，３，または５回計測した．その後，再び，容器を装着してFMD計測とPMC計測を行った．その結果，血圧を１または３回計測してもFMD値，PMC値ともに有意な変化は現れなかったが，５回連続で計測するとFMD値が有意に低下した．これより通常の血圧測定を５回繰り返すと内皮機能が低下する可能性が示された．
家兎総頸動脈を用いたin situのFMD再現系の確立については，血管周囲を希薄ノルアドレナリン添加生理食塩水で満たし，温度を37℃に保つことで，FMD現象を生じさせることが1/2程度の確率でできるようになった．しかし，FMD応答が出現しない場合もあり，原因を探る必要がある．また，血管圧平後にFMDが低下する傾向も確認することができた．FMDが低下した総頸動脈の内面をSEM観察したところ，内皮細胞が剥がれ，細胞密度が低下していること，細胞形態が丸くなっていることなどを確かめた．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り，ヒトでの上腕動脈圧平前後でのFMD/PMC値変化の計測データを蓄積することができ，血圧測定により，FMDが有意に低下するものの，PMCは低下しないことを確認することができたから．また，家兎総頸動脈を用いたFMD再現実験も概ね順調に進んでいるから．
|
| Strategy for Future Research Activity |
ヒト上腕動脈圧平前後でのFMD/PMC値の変化に関し，データの蓄積を計る．特に，血圧測定波形のどの成分がFMD低下に関係しているのか，明らかにする．
家兎総頸動脈におけるFMD応答の再現実験に関しては，歩留まりの低い原因を調べる．また，血管の圧平により糖鎖がどのように変化するのか，調べる．
|
| Causes of Carryover |
家兎総頸動脈を用いたin situのFMD再現系の確立について，再現性のある実験条件の確立に手間取っており，様々な条件を試しているために，実験プロトコルを定めて集中して実験を繰り返し，データ蓄積をする段階に至っていないため．
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のなるべく早い時期に家兎総頸動脈を用いたin situのFMD再現系についてプロトコルを確立し，動物実験を集中して進めるようにする．次年度への繰越約８６万円と次年度の請求額１４０万円のうち，ヒトでの計測実験に必要な費用，旅費，人件費・謝金などで必要となる金額，概ね１００万円を除いた約１２５万円程度を動物実験関係の物品費として使用する．
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] Vascular Engineering2015
Author(s)
Matsumoto T, Sugita S, Nagayama K: Chapter 6.4 Tensile Properties of Smooth Muscle Cells, Elastin and Collagen Fibers
Total Pages
500（予定）
Publisher
Springer
-
-
