2015 Fiscal Year Annual Research Report
血圧測定による内皮機能低下現象の解明と新たな動脈硬化診断法への応用
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26560257
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
矢口 俊之 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 講師 (70385483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
血圧計測時の圧平が血管壁に与える影響を調べるために,2年間にわたる研究を進めている.研究後半の本年度は,まず,カフによる血管圧平後のFMDの低下が,カフ圧波形のどの部分により生じるのか明らかにするために,血管を収縮期血圧+50mmHgで10秒間圧平後,収縮期血圧と拡張期血圧の中間の圧力で10心拍分保つ操作を3回行ったところ,FMDは有意に低下した.次に,収縮期血圧+50mmHgで10秒間圧平するだけの操作を3回,また,収縮期血圧と拡張期血圧の中間の圧力で10心拍分保つだけ操作を3回繰り返したところ,前者ではFMDが有意に低下したものの,後者ではFMDの低下は見られなかった.このことより,FMDの低下は,当初予想したように血管内腔面同士の繰返し衝突に原因があるというよりは,血管内腔面同士が強く密着させられることによる可能性が明らかとなった.次に,血管圧平後のFMDの低下がどのくらいの時間スケールで回復するのか,調べたところ,回復速度と年齢との間に有意な負の相関が見られた.内皮細胞の機能回復力は年齢とともに低下する可能性が示された. 家兎総頸動脈によるin situのFMD再現系の確立については,FMDの出現割合に変化は見られなかったが,血管圧平後にFMDが低下した血管において,正常血管と比べて糖鎖体積が減少している傾向が確認できた.一方,糖鎖密度に関してはそのような変化は見られなかった.昨年得られた,FMD低下血管における細胞密度の低下と考えあわせると,圧平によるFMDの低下現象は,内皮細胞の剥離と内皮細胞上の糖鎖層の厚みの減少の両方の要因により発生している可能性が示された.
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