2014 Fiscal Year Research-status Report
物理シミュレーションと統計学習に基づくカテーテル法の知能モデル構築
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26560259
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (70243219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90332741)
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (80349563)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臨床意志決定支援 / 生体シミュレーション / 手術支援 / 低侵襲医療 / ガイドワイヤ / 統計形状モデル / 最適手術操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する方法論を実証するためのシステム構築を進めた。システムは、治療前の統計モデル化のための状態パラメータ発生、シミュレーション、および統計学習の各モジュール、治療中の状態パラメータ推定、および最適操作生成の各モジュールからなる。26年度は、状態パラメータ発生、シミュレーションの部分まで完了し、各状態パラメータを軸とする空間において、カテーテルの到達性と安全性の分布図の表示法を確立した。カテーテルは、前後の押し引き(平行移動1自由度)、カテーテル軸まわりの回転(回転1自由同)の2自由度の操作と、ガイドワイヤ形状の自由度(本研究では、熟練医のガイドワイヤ形状学習データから構築した統計形状モデルの第1主成分の1自由度で表現)、合計3自由度空間で表現される。現在、ガイドワイヤ形状は、事前に、外科医が作成するので、作成したガイドワイヤ形状は固定パラメータとなり、ガイドワイヤが体内にある間、術中の操作はできない(形状変更を行うためには、いったん、ガイドワイヤを体外に引き出す必要がある)ので、術中は平行移動と回転の2自由度の操作となる。(しかし、将来、能動ガイドワイヤ・カテーテルが実現する場合は、術中にガイドワイヤ形状の変更が可能となる。)すなわち、ガイドワイヤの位置・回転(・形状)の操作自由度の空間内において、到達度が高い地点への経路を決定する問題として定式化される。その際、経路上の安全性が高いこと、経路が複雑でないこと、などが最適経路の基準となる。26年度は以上の表現法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最適操作を求めるにあたり、鍵となる中間表現を定義し、実装できたことで、初年度における一定の達成は得られたと考えている。ただし、X線画像から、ガイドワイヤの状態を予測する部分については、現状では、手が付けられていない。当初の計画では、この部分についても、26年度に一部進める予定であったので、その点で、現在までの達成度を「やや遅れている」と評価した。また、そのことから、26年度の購入予定であったシミュレーション計算用PCの購入が遅れ、27年度に購入することにした。 しかし、ガイドワイヤ(カテーテル)操作の自由度空間におけるカテーテルの到達性と安全性の分布図の表示法を確立したので、ガイドワイヤ状態予測(どのような操作をした結果であるか、についての予測)の出力形式が定まったので、一定の進捗があったと考えている。なお、研究発表については、ファントム実験が完了してから行う予定のため、現段階では、行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度には、X線画像からガイドワイヤ操作状態の推定に取り組む。この推定問題は、確定的な解が得られるとは限らないので、ガイドワイヤ操作自由度空間における確率分布として表現することを検討している。計算量がやや大きくなるので、専用のシミュレーション計算用PCを購入する。分担者の大竹(奈良先端大)が、X線画像解析の専門家であり、この目標を達成できると考えている。最適操作も、確率的な意味で、操作空間において、到達度と安全性を最大にできる経路を求める問題として定式化する。それらをカテーテル室におけるCT撮影も含むファントム実験で検証し、システム全体の潜在的臨床的効果を確認する。分担者の大須賀(大阪大学)が、カテーテル治療の専門医であり、大阪大学病院で実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画より遅れを生じたため、必要なスペック等の決定が遅れ、26年度購入予定だったシミュレーション計算用PCの購入を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の早い時期にシミュレーション計算用PCを購入する。
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