2015 Fiscal Year Research-status Report
ミー散乱増強光の時空間制御による核内分子デリバリー
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26560263
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60580090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低侵襲治療システム / レーザー医療 / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の2年目である平成27年度は、集光増強光の多光子過程による細胞プロセシングを核膜穿孔に注力して実施した。増強光分布および生分解性ポリマー微粒子と細胞の相対位置により核膜穿孔確率が変化するとの予想から、接着状態の細胞と浮遊状態の細胞を対象として細胞膜穿孔と核膜穿孔を試み比較した。接着状態の細胞は培養ディッシュ底面に接着した細胞であり、細胞上面に微粒子が位置するものの、細胞の形状により微粒子は裾野部分に多く、細胞核上方に存在するものは少ない。浮遊状態の細胞では、微粒子分布の偏りは小さく接着状態に比べて細胞核上方の微粒子存在確立は高い。このため、マイクロ流路内を移動する浮遊状態の細胞への外来分子導入を試みた。生分解性ポリマー微粒子を細胞膜に結合した培養ヒト上皮癌細胞 (A431細胞) と導入分子である蛍光分子をマイクロ流路内に流し、フェムト秒レーザーを照射した。微粒子は、乳酸・グリコール酸共重合体 (poly(lactic-co-glycolic acid), PLGA) 微粒子およびポリ乳酸 (Poly lactic acid, PLA) 微粒子を使用し比較した。屈折率の高いPLGA微粒子ではPLA微粒子よりも高い集光強度が得られ、同じレーザーフルエンスにおいて高い細胞内導入効率が得られた。また、接着状態よりも浮遊状態の細胞への細胞核内導入効率が高く、微粒子と細胞の相対位置および増強光分布が重要であることが示された。さらに、副次的成果として、PLGA微粒子の高い増強度によりレーザーの入射強度を低くすることが可能であり、マイクロ流路の損傷軽減が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画通り核膜プロセシングに着手し、微粒子と細胞の相対位置および増強光分布により核内導入効率が変化することを実験実証した。また、核内分子導入では細胞膜および核膜の穿孔だけでなく、導入分子の細胞内における挙動も重要であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度は、予定通り細胞膜と核膜の一括アブレーションに挑戦する。平成27年度の研究により、当初重要視していなかった細胞内における導入分子の挙動が提案方法においても重要であることが分かったため、研究開始時の実施内容から発展させ、可能な範囲で導入分子挙動の制御についても検討する。
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