2016 Fiscal Year Annual Research Report
Direct molecular delivery into nucleus by spatiotemporally controlled enhanced Mie scattering light
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26560263
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (60580090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低侵襲治療システム / レーザー医療 / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成28年度は、計画通りフェムト秒レーザーと微粒子を用いた細胞核内デリバリーの研究を実施した。まず、プラスミドDNAの細胞内導入において第一の障壁となる細胞膜とプラスミドDNAの間に生じる静電反発力を軽減するため、カチオン性リポソームとプラスミドDNAの複合体を作製し、レーザーとの併用効果を調べた。リポソーム濃度が高いほど細胞と導入分子の静電反発力は低下し、それに伴い細胞内導入効率が上昇することがわかった。ただし、導入したプラスミドDNAの大部分は細胞の核内ではなく細胞質に存在した。細胞質から核内への移行は細胞分裂時に一時的に核膜が消失することに起因すると考えられる。次に、第二の障壁である核膜の透過を目的とし、微粒子近傍に生じる光増強場の強度分布に着目して集光点の距離を利用した細胞膜と核膜の一括アブレーションを試みた。直径の異なる微粒子(直径0.75マイクロメートルおよび3.0マイクロメートルのもの)を用いることで微粒子下に生じる集光点の位置を細胞膜ではなく細胞核膜に近いところに得られる条件を検討した。集光点において同一の最大光強度となる条件でレーザー照射を行ったにも関わらず、細胞核膜に近い位置に集光点が得られる3.0マイクロメートルの微粒子を用いた条件のみ細胞核内に導入分子由来の蛍光が得られ、遺伝子の発現が観察された。将来展望として、本研究成果をもとに微粒子とフェムト秒レーザーによる標的細胞小器官のレーザー操作が期待される。
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