2014 Fiscal Year Research-status Report
がん指向性ナノバブルを利用した低侵襲的早期超音波がん診断・治療システムの構築
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26560264
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 准教授 (90384784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超音波診断 / 超音波治療 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん組織内の新生血管内皮ターゲティング型バブルと診断用超音波を利用した早期がん診断法の開発および治療用超音波を利用したがん組織血管傷害療法と免疫療法の併用によるがん治療効果の増強である。本年度は、新生血管内皮細胞のターゲティング可能なバブルの開発に着手した。今回は、がん組織の新生血管内皮細胞に選択的に結合するcyclic RGD (cRGD) ペプチドを修飾したマイクロバブルを調製した。そして、このバブルを担がんマウスに投与し、その集積性を超音波造影装置で確認した。なお、今回の検討ではがん組織内を流れているバブル由来の超音波造影シグナルを検出するため、バブル投与10分後にがん組織に向けバブルを崩壊できる音圧の超音波(フラッシュエコー)照射を行い、フラッシュエコー照射前後の造影輝度の差分を指標にがん組織へのバブルの集積性を評価した。その結果、コントロールペプチド(cyclic RAD) を修飾したバブルではフラッシュエコー照射前後で造影輝度に大きな差は認められなかった。一方、cRGD 修飾バブルでは、フラッシュエコー照射後に造影輝度の減弱が認められた。このことより cRGD ペプチド修飾によりがん組織にバブルが集積していることが明らかとなった。さらに、cRGDペプチド以外の配列のペプチドによるがん組織ターゲティング能を評価した。今回の検討ではファージディスプレイ法で見出されているペプチド配列であるCGKRKを修飾したバブルを調製し、そのがん組織集積性を評価した。その結果、CGKRKペプチド修飾バブルは、コントロールペプチド(CKGRK)ペプチド修飾バブルに比べ、がん組織に効率よく集積することを発見した。このように本年度は、がん組織にターゲティング可能なバブルを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画では、がん組織ターゲティング可能なバブルの開発を行うこととしていた。実際に、今回の検討では2種類のがん組織ターゲティング可能なバブルを見出すことができた。一方で、本年度予定していたペプチド修飾量の最適化や治療用超音波照射との併用による殺細胞効果の評価を行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
がん組織ターゲティング型バブルのがん組織集積性を超音波造影で確認できたため、治療用超音波照射との併用による新生血管傷害療法に向けたバブルの最適化を行う。実際には、がん組織への集積効率を高めるため、バブル表面に修飾するペプチド量の最適化やバブルの血中安定性の評価を行う予定である。そして、最適化したバブルと治療用超音波照射の併用による新生血管傷害療法によるがん治療効果について検討する。また、がん治療効果が認められる条件が得られた段階で、養子免疫療法や抗体療法などの免疫療法との併用を行い超音波がん治療と免疫療法のがん治療効果の相乗効果について評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度において、ターゲティングバブルを調製後にその最適化や安定性評価、治療用超音波照射との併用による細胞傷害性評価を行う予定であった。しかし、バブルの調製のみで当該年度が終了してしまったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に行う予定であった検討項目が次年度に移行したため、その検討項目の検討に使用する予定である。
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