2014 Fiscal Year Research-status Report
立位時の身体動揺を利用した簡便な自律神経機能評価方法の開発
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26560277
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
南澤 忠儀 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (40347208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心弾動図 |
Outline of Annual Research Achievements |
静止立位時の床反力垂直成分(vGRF)から抽出した心弾動図(Ballistocardiogram;BCG)を利用して自律神経機能評価の可能性を検討した.健常若年者15名を対象として床反力計上で静止立位を60秒間保持する課題を6回行ないその時の心電図(ECG)およびvGRFから抽出したBCGを収集した.なお,サンプリング周波数は1000Hzである.解析方法は,①最大エントロピー法による周波数解析を行ないLF/HF比を算出,②Powerlaw法,③DFA法の3つの指標を使用した.ECGおよびBCGの2つの信号から求めたLF/HF比とPowerlawの相関係数はどちらも0.5以上(p<0.01)となり,一定の精度でBCGからの心機能の評価が可能だった.LF/HF比の値はECGとBCGともに背臥位での計測よりも高い結果となった.立位では背臥位と比較して血漿ノルエピネフリン濃度が高くなり,この因子は交感神経活動と関連する事から背臥位でのLF/HF比とくらべて高値となったと推測される.また,Powerlawの値はECGから計算した値と比べてBCGで高く,これは立位時に混入する体動が影響したものと思われる. 本研究では,追加解析としてECGとBCGについてコヒーレンス解析を行い2つの信号に共通する周波数を特定した.その結果,いずれの被験者も4-8Hzと12-16Hzの2つの帯域でコヒーレンス値は0.6以上となった.このことからECGに含まれるこれらの帯域がBCGで評価可能となることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心弾動図と心電図の相関解析を実施して一定の成果が得られた.ただし,心弾動図の抽出のための他の信号処理方法についてはさらに検討する必要がある.現在は,年度当初に予定していた処理方法以外にも加算平均法やコヒーレンス解析等を行ないBCG抽出の精度を高めることやBCGによって推定できる心機能を模索している.
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Strategy for Future Research Activity |
1点目は,心弾動図の周波数帯域の中心となる4-8Hzは体動によって生じる周波数帯域と同じであるために,身体動揺によって生じる成分をBCG成分から除去する必要がある.これについては引き続き処理方法を検討する.2点目は,高齢者を対象として実施する.高齢者の場合には加齢による振戦や身体動揺の増加によってBCGがそれらの信号に埋没する事も考えられる.基本的方法は初年度と同様の方法を行なう.
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Causes of Carryover |
本年度は,現有機器を使用することで実験遂行上支障が無かったため予定された機器の支出分が無かった.また,英語翻訳料を検討していたが論文作成について遅延しておりその点の支出が無かったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学外で高齢者を対象に計測を実施するために,現有する機器よりも小型機器の用意をする.また,対象者への謝金として支出する.
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