2015 Fiscal Year Research-status Report
神経心理学的検査に基づいた脳室周囲白質軟化症児における視覚経路障害の検討
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26560281
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
木村 恵 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 講師 (30708582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
境 信哉 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (30299804)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 背側視覚経路 / 腹側視覚経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳室周囲白質軟化症児の視覚経路障害を検討することを目的とし,3つの行動学的実験を設定した.設定した行動学的実験は,成人の腹側視覚経路障害,視覚性運動失認に対して行われた先行研究を基に,それぞれ腹側視覚経路に関与するとされている「知覚課題」と背側視覚経路に関与するとされている「視覚運動課題」から構成した.予備的研究として,早産低出生体重児1名に対し,要素的な視覚機能検査,線画を使用した物体認知検査(腹側視覚経路),coherent motion(背側視覚経路) と行動学的実験を実施した.なお,行動学的実験を行うにあたり,簡易上肢機能検査(STEF)を実施し,上肢機能に問題がないことを確認した上で実験を行った.情報収集および視覚に関する質問紙より,日常生活では視覚的注意以外で問題は認められなかった. 要素的な視覚機能の検査では,色,コントラスト,視野には目立った問題は無く,立体視にのみ困難さが認められた.「方向」「大きさ」「長さ」の弁別については,検査課題に成人で標準化されている検査であるBirmingham object recognition battery(BORB)を使用した.そのため,年齢をマッチさせたコントロール群との比較が必要となることから十分な検討はできていないが,「方向」検査では60%を下回る結果となった.「方向」および立体視については,背側視覚経路の関与が大きいことが知られている.しかし一方で,背側視覚経路の関与が大きいとされているcoherent motionでは,問題は認められなかった.これについては,BORBの検査では,1つの用紙に,検査課題が複数含まれることから,視覚的注意の要素が影響していることが考えられ,今後刺激の提示方法を検討する必要性を確認した.行動学的実験については,「視覚運動課題」である形の異なる湾曲した形の把持課題では,先行研究のコントロール群と同じ把持パターンであることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象としている被験児が,研究当初より研究協力頂いている機関だけでは集まらず,他の病院等に協力依頼をしなければならなくなったこと,また,被験児の疲労・負担を考慮し,種々の検査および実験には最低でも2日かつ2回以上に分けて実施していることから,データ収取に時間を要しているため,当初の予定より研究が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
被験児が想定した人数より少なくなる場合については, 7歳から12歳としている対象年齢を7歳から15歳までと中学生までを対象とできるよう研究計画の変更を行う.データ収集については,できるだけ被験児の長期休みを利用してデータ収集をできるよう日程の調整を実施する.
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Causes of Carryover |
研究の被験児が予定していた人数が集まらず,データ収集が遅れているため,被験児と保護者への謝金の支払いと研究協データ収集を行いに研究協力機関へ行くための旅費の使用が滞っている.そのため,旅費と謝金については次年度の繰越金とした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の使用計画については,研究データの収集に伴う研究協力機関への交通費と研究協力者(児)への謝金とする.
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Research Products
(1 results)