2014 Fiscal Year Research-status Report
脳波解析による認知機能低下者の特性とその縦断的検討
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26560286
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
小松 泰喜 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (80436451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北城 圭一 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (70302601)
東郷 史治 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90455486)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軽度認知機能障害 / 脳波解析 / 認知遂行課題 / 位相同期指標(PLV) / 事象関連電位 / 生活機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生理機能検査として汎用性のある脳波計を用い、認知課題遂行時の脳波を測定し、脳波大域的位相同期度と認知機能との関連を見出し、生活機能障害と身体機能及び神経心理学的測定における認知機能との関連について縦断、横断的に検証することを目的としている。 今回の測定方法は、電極配置は国際10-20法に基づいて全頭に配置された17ch以上での脳波測定の実施を行っている。脳波測定は閉眼安静時測定3分間及び認知遂行課題としてflanker 課題時の測定をする。脳波については二つの異なるチャンネルから得られる脳波信号間の位相差同期度を評価する。同期度の指標は二つの信号の位相差ベクトルの平均値であるPLV(Phase Locking Value)を主に用い、PLVの時間周波数マップ、脳マップを作成する。さらに、平均反応時間と脳波の位相同期指標(PLV)の最大値を各被験者で検出し、両者の相関をみる。 解析は、適正な認知遂行課題に関するプログラムの構築ならびにERP解析方法論をもとに行う予定である。すでに結果として高齢者を対象に、Flanker 課題時の3条件(Neutral条件、一致条件、不一致条件)、96試行を実施し、全試行での平均反応時間と刺激後のシータ波(3-8Hz)での位相同期指標PLVzの全電極ペア平均の最大値との関連を調べ、有意な負の相関が認められた。平成27年度はさらに注意機能と位相同期度との関連から、方向性として計測結果より位相同期解析をし、計算環境を整えて計算を行う予定である。また、一部の結果からで副次的に単純反応時間と身体機能との関係について検討を行い、年齢を制御変数とし、各パラメータで偏相関分析を行った結果、単純反応時間の中央値は、TUGと握力、flanker課題に低い正の相関関係が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者として39名の高齢者に協力を頂き、身体機能や精神機能、脳波計の課題について測定を行った。その内訳は平均年齢82歳(76歳~88歳)で、22名には脳波計の測定を行った。脳波解析はすでに被験者である高齢者の認知課題遂行中の脳波位相同期ネットワークの解析を実施しており、認知機能障害の脳波予測指標との関係、縦断的計測により認知機能障害の脳波予測指標の精度検証などにも着手している。したがって、平成26年度に実施予定であった課題の解析についてはおおむね順調と判断している。 認知機能障害、生活機能障害に対する介入方法の検討を行っており、さらなる解析を進め、多変量解析にて、単純反応時間と各々のパラメータがどのように影響しているかの検討にも目途が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、事象関連電位ERP (event-related potential)も解析に加えることとする。ERPは振幅の代表値として、反応開始前100msから反応までの区間をベースラインとして0-100ms範囲内の区間平均電位を算出する。また、これまでMCIの程度と生活機能障害あるいは日常生活自立度の関係は、十分な検討がされておらず、その症状予後に関しての研究も少ない。したがって、日常生活活動を示す生活機能との関連性に焦点を当て、MCIを前もって脳波指標で定量化できる方法論を確立し、重症化を防ぐための介入可能性を検討する。それにより生活機能障害あるいは日常生活自立度の脳波による神経科学的な解釈が明らかになることは、脳機能の観点から個別的認知症ケアのためのケア計画立案の根拠となることを期待している。
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Causes of Carryover |
当初脳波測定に協力予定であった被験者数が確保できず、CAP型電極、装着用のペースト等の他、設置調整費用などの消耗品を使用しなかった。また、一部、国内・外の学会への参加のための旅費および交通費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、26年度同様、消耗の可能性のあるCAP型電極の他、設置調整費用を必要とする。研究協力者への謝金(5日×5千円×2名)、研究補助謝金(5 日×5千円×2名)、研究協力者へのデータ解析補助謝金(5日×10千円×2名)国内・海外での本研究成果の発表それぞれ1回のための交通費と宿泊費として経費を使用する。
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Research Products
(1 results)