2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症反応と骨格筋の萎縮・肥大を調節する基盤メカニズムの関連解明
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26560289
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
笹井 宣昌 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (20454762)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 理学療法 / 骨格筋 / 萎縮 / 肥大 / 炎症反応 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,炎症反応と骨格筋の萎縮・肥大を調節する基盤メカニズムの関連について解明することを目的とする.炎症反応が,萎縮・肥大と真逆なそれぞれを促進すると考えられ始めた.一方,炎症性サイトカインや酸化ストレスの関わり,あるいは筋損傷を伴う場合について報告はあるものの包括的な理解には至っていない. そこでマウス骨格筋の廃用性萎縮,負荷運動による萎縮予防・肥大について,炎症反応,酸化ストレス,萎縮・肥大を制御する分子シグナルの動態を明らかにするとともに,それらの関連性について検討を進めている. 昨年度に,廃用性萎縮モデルである尾部懸垂マウスの実験を実施した.おもに萎縮が惹起された後肢の大・下腿筋について,2週間のタイムコース・サンプルを作製し解析を進めた. 今年度は,先ず廃用性に萎縮した筋に対する筋力増強運動の効果を検討するために,尾部懸垂2週間のマウスに,筋力増強運動として階段を登らせる実験を実施した.最初から最後まで同じ強度で運動する群,弱い強度から漸増させた群の2群を設けた.通常(運動なし)群を実験対照とした.これにより運動強度,炎症反応,萎縮の回復との関連が検討できると考えた.次に,肥大モデルとしてマウスの後肢下腿の共同筋腱切除術を導入・確立した.腓複筋の停止腱を切除により,温存されたヒラメ筋が代償性に肥大した.萎縮していない筋における高強度運動やその肥大について検討が可能となった.現在,これらの筋サンプルに関する組織学および生化学的な解析を進めている. さらに,電気刺激を活用した培養筋細胞の肥大・萎縮モデルを導入・確立した.これまでに使用経験のあるトリ初代培養細胞を用いた.個体実験にあわせてマウス初代培養細胞の技術も導入しつつある.個体実験で示唆されたメカニズムについて,細胞・分子レベルでより詳細に検討する体勢を整えつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね予定通りであるが,筋サンプルに関する各種検出や解析に時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の予定通りに進んでおり,研究計画の大きな変更等は考えていない.初年度より廃用性萎縮やその回復に関する検討を中心にマウス個体実験を進めてきた.今年度は,さらに共同筋腱切除による肥大モデルを導入した.これらの解析の進捗とバランスをとりつつ,負荷運動による肥大あるいは萎縮予防について今後の展開を予定する.また炎症反応,酸化ストレス,萎縮・肥大の分子シグナル等の関連について,より詳細な検討を進めるための細胞培養・実験系が整いつつある.個体実験で関連性が示唆されたメカニズムについて,培養系実験を活用して展開したいと考える.
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Causes of Carryover |
3月の消耗品購入に当たり,極僅かに残高が不足したため,支払いを翌年度分入金後まで延期していただいた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由に記載した通り消耗品購入に充てる.
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