脳性麻痺児の実用的独歩獲得に影響を与える機能障害因子の同定

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26560292
• Research Institution: Osaka Health Science University
• Principal Investigator: 藪中 良彦 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (60536803)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 脳性麻痺 / 独歩獲得 / 機能障害 / 学童期 / 粗大運動能力分類システム

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，日常生活場面での実用的独歩が可能な学童期脳性麻痺児（粗大運動能力分類システム[GMFCS]レベルⅡ）と10歩の独歩が可能であるが実用的独歩が難しい学童期脳性麻痺児（GMFCSレベルⅢ）の機能障害を横断的に測定して比較し，脳性麻痺児の実用的独歩獲得に影響を与える機能障害レベルの因子を同定することである．
当初の研究計画では，まず16個の因子を文献研究と専門家間のディスカッションによって選択し，パイロット研究を開始する予定であった．しかし，文献研究と専門家間のディスカッションの結果，関節可動域，筋力，痙縮，病的反射，触圧覚，固有感覚，前庭感覚，眼球運動，選択的運動コントロール，バランス反応，後方ステップに関して，当初予想していた16項目の2倍以上の33項目が実用的独歩に影響を与えるかもしれない項目として測定対象に選択された．
平成26年度の研究成果は，これら脳性麻痺児の実用的独歩の獲得に影響を与えるかもしれない33項目を，文献研究と専門家間のディスカッションを通して決定したことである．
現在は，それぞれの項目を信頼性を持って測定するための手順を作成中である．その手順を完成後，大阪保健医療大学研究倫理委員会に本研究のパイロット研究の倫理審査申請をする予定である．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の予定では，平成26年度中にパイロット研究の倫理申請を終了し，パイロット研究を27年度前半に実施する予定であった．しかし，予想以上に文献研究と専門家間のディスカッションに時間がかかったことに加えて，脳性麻痺児の実用的独歩獲得に影響するかもしれない項目が33項目と非常に多くなり，それぞれの項目の信頼性のある測定方法の作成にも時間がかかった結果，パイロット研究の研究計画書の倫理申請が遅れている．

Strategy for Future Research Activity

平成27年度：今年度前半にパイロット研究の研究計画書の倫理申請を大阪保健医療大学研究倫理委員会に行う．倫理審査承認後，今年度後半にパイロット研究を実施し，日常生活場面での実用的独歩が可能な学童期脳性麻痺児（GMFCSレベルⅡ）10名と10歩の独歩が可能であるが実用的独歩が難しい学童期脳性麻痺児（GMFCSレベルⅢ）10名の機能障害を横断的に測定する．そして，2群の間の機能障害の違いと共に各項目間の相関の程度を調べ33項目を10項目に絞り込む．
平成28年度：平成28年度前半に，日常生活場面での実用的独歩が可能な学童期脳性麻痺児（GMFCSレベルⅡ）30名と10歩の独歩が可能であるが実用的独歩が難しい学童期脳性麻痺児（GMFCSレベルⅢ）30名に対して，10項目の機能障害を測定する．そして，平成28年度後半に，結果を多重ロジスティック回帰分析を使用して分析し，各機能障害因子が脳性麻痺児の実用的独歩獲得に与えている影響度を確定し，研究結果を学術論文に投稿する．
平成29年度：平成29年度は，脳性麻痺児の実用的独歩獲得に影響を与えると同定された機能障害レベルの因子が本当に実用的独歩遂行の制限因子であるかを確かめるために，前方視的にそれらの因子に取り組む群とそうでない群の比較を無作為化比較対照試験で行うために，新たな研究助成金への申請を行う．

Causes of Carryover

研究計画では，平成26年度に測定対象にする機能障害項目を選択するために，研究に協力して頂ける専門家に大阪に集まって頂き会議を開催する予定であったが，会議をインターネット経由で行ったため，その会議のための交通費を使用することがなかった．また，パイロット研究の倫理申請が遅れており，平成26年度にパイロット研究のために購入予定であった筋力計8台の購入を行わなかった．そのために，次年度使用額が生じた．

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究計画の進行の遅れに伴い，平成26年度に使用予定であった打ち合わせのための旅費を平成27年度に使用し，平成27年度に使用予定であった打ち合わせのための旅費を平成28年度に使用予定である．また，20台購入予定であった筋力計の生産が中止になり，他の機種に変更することが必要になり，1台の値段が約6万円から約11万円に変更になることに従い，筋力計の購入台数を10台に変更し平成27年度に購入予定である．