2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二瓶 美里 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (20409668)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知 / 歩行 / 移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)測定障害と空間移動の関係性の解明については、外来患者のうち上肢試験や検査の成績が低い者2名 のドライブシミュレータ(DS)を用いた実験結果を得た。また、予備調査を継続して上記の2名を含む19名を対象に検査およびDS実験を行い結果を得た。(2)歩行運動や自動車の運転行動に関わる動的な測定障害の測定手法および装置の開発については、実験結果に基づきシステム構成および評価項目や評価指標の一部について要求機能を抽出した。 具体的には、本年度はまず仮説検証の予備的調査として自動車の運転時の走路逸脱事例についての検討を行った。空間移動に関連すると考えられる他の認知的要素がどの程度これらの事例に関与しているかを調べるために、認知機能と車線走行の関係を調べる実験を実施した。実験協力者は19名(健常高齢者9名、認知症者6名、健常若年者4名)で、空間移動に関連する認知機能検査(CAT(注意機能/反応速度検査)、BVRT(視覚記銘検査)、RCFT(視空間認知機能検査))および測定障害の検査(回内回外試験、指鼻試験、机上試験))、簡易ドライブシミュレータ(DS)を用いた走行試験を実施した。DSの評価は、直進、カーブ走行におけるばらつきや左右の片寄りを指標とした。その結果、今回の結果においては空間移動には視空間認知の能力が支配的要因となる可能性があることが示され、視知覚・認知―判断―操作の運転プロセスにおける前半の段階で不適が起こり、その後の判断や操作に影響を与えることがわかった。しかし、今回の対象としては調査対象者選定の都合上、測定障害のある人を対象とすることができなかったため、今後、実験協力者の選定方法を見なおすとともに空間行為に関連する視知覚や視空間認知の影響も測定できる総合的なツールを開発する必要が有ることがわかったことから、要求機能の再検討を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主な理由としては、仮説検証の予備的検討において想定していた実験結果とは異なる傾向が認められたことがあげられる。またその要因としては視空間認知機能や注意機能は正常範囲内で測定障害に関連する試験成績が低い者の人数が限られたことや、実験協力者のリクルートが必ずしも適切とはいえないことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、当初測定障害の測定手法の開発を目指していたが、測定障害だけを測定するツールではその後の検証が困難なため、空間行為において関連する視空有間認知機能や空間構成機能などについても測定機能として検討し総合的な評価ツールを開発すべきか再度要求機能の再考および要求仕様の抽出を行う。また、それらの開発および検証を行っていく。その際、実験協力者の選定方法を見なおすことや専門医への調査、さらなる文献調査などを実施し、知見の整理を行う。
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Causes of Carryover |
一時期産前産後休のため、本年度は主にドライバを対象とした実験を行い、それらの結果の考察を重点的に行なったため測定障害の有無に応じた実験を十分に行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に上肢・下肢試験、机上検査によって測定障害があると考えられる者に対して空間移動(線上の直進・旋回歩行・空間内の直進・旋回歩行等)実験を行う予定である。
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