2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560312
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤本 浩志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60209103)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動錯覚 / 運動錯覚提示装置 / 運動学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,身体動作に関わる新たな情報と,その伝達手段として,錯覚による運動感覚情報の提示を提案する.錯覚による運動感覚(以下,運動錯覚)の提示は,四肢の関節運動に関わる筋肉の腱に振動提示をすると肘が伸展する方向に関節が動いていたかのように感じる.この錯覚を利用して,実際に動きを伴わずに,目標とする運動をしている感覚を生起させることが可能な運動錯覚の提示装置が開発されれば,教育現場における運動学習支援のみではなく,運動機能障害者へのリハビリテーションへの効果も期待される.平成26年度は,運動錯覚提示装置の開発を中心に進めた.振動装置には,コストが小さく小型でも振動時に大きな力を出せる偏心錘付のモータを使用した.先行研究の知見から,錯覚により関節が動いたと感じる速度は振動周波数と対応しており,周波数100Hz程度の時に最大の角速度になることが明らかになっている.つまり,複数の関節運動が組み合わさった複雑な運動でも,各関節に着目し,それぞれの角速度に応じた周波数で刺激提示を行えば,錯覚としてその運動感覚を生じさせることが可能である.そのため,本研究では任意の周波数の振動刺激を提示できる装置を開発した.また,申請者らの先行研究から振動時の最大発生力が錯覚の生起に影響を及ぼすことが分かっているため,厚さの異なる偏芯錘を複数用意し,錯覚評価実験時に振動提示部位ごとに最も錯覚生起に適した力を調べることにした.開発した振動装置を用いて,出力周波数,最大発揮力を計測し,装置の基本的な特性をまとめた.また,当初の計画より前倒しで,肘の伸展錯覚が起こる上腕二頭筋の運動錯覚特性も明らかにすることができた.次年度は,この装置を用いてヒトを対象とした錯覚評価実験のシュミレーションを継続する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,任意の周波数の振動刺激を提示できる装置を開発することができた.開発した振動装置を用いて,出力周波数,最大発揮力を計測し,装置の基本的な特性も調べることができた.また,当初の計画より前倒しで,肘の伸展錯覚が起こる上腕二頭筋の運動錯覚特性も明らかにすることができた.それ故,本研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,肩の水平伸展・水平屈曲の錯覚が生起する僧帽筋・大胸筋に振動刺激を与え,肩の動作の錯覚を生起させる実験を行う予定である.錯覚生起の評価は,錯覚生起の有無の二肢強制選択と錯覚の明瞭度主観五段階評価等を用いて運動錯覚特性を明らかにする.
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