2014 Fiscal Year Research-status Report
新規二重運動負荷刺激法の開発と誘発されるマイオカインの作用機序解明とその利用検討
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26560314
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山田 晃司 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (60278306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨密度低下 / 筋肥大 / マイオカイン / 振盪刺激 / 振動刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに振盪刺激に振動刺激を加えた動物用ダブルメカニカルストレス装置を作成し(特注:日伸理科)、その相乗効果について骨密度が低下する卵巣摘出マウス(閉経後モデル)を用いた基礎実験を行い、筋および骨についての解析を行った。筋の分子制御メカニズムの要素について刺激期間の経過と共に計測を行った。筋肉の増強の正の要素myostatinやactibin、負の要素follistainやinhibinの増減について解析を行った結果、下半身の筋肥大が確認された。特に腸腰筋においては部位差が確認され、機能的相違に興味深い結果を得た。腸腰筋の起始部は腰椎であり腰椎の椎体圧迫骨折にも予防効果があることが示唆された。これは当初予想していた考察を超える知見である。また、骨組織標本を作成しVillanueva Bone Stainを行い、定法に従い骨形態計測項目を算出した。骨量、骨吸収、骨形成、骨石灰化の解析を行った結果、一次パラメーターについて骨形成の傾向が得られた。また、破骨細胞に関わる骨吸収のパラメーターにおいて刺激無群と刺激有群間に有意な差が認められた(p<0.05)。しかし、骨形成と骨吸収の骨代謝が著しいことが考えられほとんどのパラメーターにおいては有意な差を得ることができなかった。 骨形成の傾向が得られたことは確かであり、そのメカニズムは筋肥大した筋の腱を介した骨への直接的刺激が骨細胞を活性化していると考えられた。しかし、それだけではなく今回、注目したのは運動刺激により骨格筋から発現分泌されるマイオカインの作用である。筋溶液を作成し、マイオカインとして報告のあるインターロイキン(IL)-6、IL-8、IL-15についてELISA法にて解析を行った。その結果、大腿四頭筋と下腿三頭筋において、刺激を行った群が行わなかった群に比べ有意にIL-15の発現が増加していた(p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振盪刺激に振動刺激を加えた動物用ダブルメカニカルストレス装置を作成し(特注:日伸理科)、その相乗効果について骨密度が低下する卵巣摘出マウス(閉経後モデル)用いた基礎実験を行い筋および骨についての解析を行った。その結果、刺激を行ったマウスでは、体幹につながる下半身の筋と大腿および下腿の筋肥大、大腿骨の骨密度の急激な低下を緩和することが明らかとなった。また、それだけではなく今回、注目する運動刺激により骨格筋から発現分泌されるマイオカインであるインターロイキン(IL)-15が、大腿四頭筋と下腿三頭筋からの刺激有群で発現増加が確認できた(p<0.05)。しかし、サイトカインや成長因子など含むメンブレンアレイ(RayBiotech, Inc.)を用いた網羅的解析を行ったが、その測定方法では感度の問題が生じ明確な結果を得ることができなった。一方で採取した筋から抽出液を作成し、骨細胞と破骨細胞に添加する細胞培養実験系の方が進行している。また、その筋抽出液をAlzetカプセル(半透膜による持続投与:DURECTTM)に入れ、マウス皮下に埋め込み、Parabiosis的効果を検証することを計画していたが、筋溶液がスムーズにカプセルから長期投与できない問題が生じた。 その他、将来的に臨床に応用することを考えているが、その際に乗り物酔いのような平衡感覚に及ぼす影響を平衡感覚評価テストでの明確な検証は出来ていない。また、刺激有群に比べ刺激有無群は皮下脂肪が増加し体重が増加するが、刺激によりその量は軽減することを組織標本オイルレッドO染色により解析済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
ダブルメカニカルストレス刺激による骨密度低下の緩和については骨形態計測の結果より明らかである。また、刺激による筋肥大も明らかになっており、その筋からマイオカインの1つであるIL-15の発現も増加していることが明らかになった。そのメカニズムついては体液性調節がその一助となると考えていたがその考察は間違っていない。そのためその他の体液性因子を探索するためにもサイトカインや成長因子など含むメンブレンアレイ(RayBiotech, Inc.)を用いた網羅的解析を行っていきたいと考える。その際に問題となった測定感度の問題は、試料の濃縮工程を加え再度実験を試みる。また、細胞培養実験系とParabiosis的効果の実験系において骨密度低下緩和が直接的な物理刺激によるものだけではないことを明らかにする。細胞培養実験系においては破骨細胞の活性化や増殖を抑える傾向がすでに得られており、実験を継続し結果をまとめる。マウスを用いたParabiosis的効果の実験系においては、筋溶液を薄めスムーズに投与できるか、また腹腔内投与も視野に入れ検討をし直す。脂肪代謝の検証については皮下脂肪において刺激有群はその現象が確認できており、その脂肪組織(褐色と白色)は部位別に摘出急凍(-80℃保存)しておりFolch法を用いての定量解析ができる状態にある。
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Research Products
(3 results)