2014 Fiscal Year Research-status Report
足・膝・股関節の周囲の皮膚伸張刺激に伴う立位姿勢応答
Project/Area Number |
26560324
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤原 勝夫 金沢大学, 医学系, 教授 (60190089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 直恵 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90559189)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 感覚参照系 / 皮膚伸張刺激 / 姿勢応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膝関節周りの皮膚伸張に伴う姿勢応答を検討した。歩行運動時の膝関節周りの皮膚の伸張の程度は、最大で約1cm/5cmであった。この振幅を用いた皮膚伸張刺激により、膝関節上部の皮膚を刺激し、姿勢応答を評価した。次の2つの実験を行った。実験1:200-350gの圧力を加えて皮膚伸張刺激した場合の刺激部位による影響。実験2:皮膚伸張刺激における圧力の影響。被験者数は、それぞれの実験で12名と17名である。200-350gの圧力での皮膚伸張刺激では、筋腱移行部の±2cm以内の範囲で、ほぼ全員に後傾応答が認められた。その範囲外では後傾応答が認められる被験者数が減少し、大腿の中央部と膝蓋骨直上では、全員に後傾応答は認められなくなった。圧力を200gから50g間隔で増大して皮膚伸張刺激を加えた場合には、後傾応答が認められ始めた圧力は、200gが13名、250・300gが各2名、350gが1名であった。200g以下で、前傾応答が認められた試行数の割合は、圧力の減少に伴い増加し、0gでは58.8%となった。すべての姿勢応答は皮膚伸張刺激開始後0.4-3.9秒で認められた。200-350gの圧力を加えた皮膚伸張刺激に対する姿勢応答は、体幹部の前傾に伴い膝が過伸展したという錯覚に対する補償応答として生じると推察された。0-200gの圧力を加えた皮膚伸張刺激に対する姿勢応答では、膝関節を主軸としてそれより上部の身体が後傾し、膝関節上部の皮膚が伸張されたという錯覚に対する補償応答として生じると推察された。これらの姿勢応答の潜時からして、姿勢応答には脊髄より上位に存在している感覚参照系が関係して生じると推察された。これらの姿勢応答は、各種の皮膚感覚受容器の分布、すなわち膝関節との位置関係および表皮からの深さが関係して、脊髄より上位に存在する感覚参照系を介して生じた補償応答であると推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
立位姿勢制御における皮膚感覚情報の役割の究明を目的とした。歩行時の膝関節周りの皮膚伸張の度合いは、最大で約1cm/5cm(2点間距離)であった。超小型アクチェーターを用いて、膝関節周りの皮膚に伸張刺激を加えた。伸張刺激振幅は、10mmとし、伸張速度は10mm/秒とした。その結果、大腿直筋の筋腱移行部付近への刺激で、比較的強い圧力での刺激では後傾姿勢応答が生じ、比較的弱い圧力での刺激では前傾姿勢応答が生じることが多かった。この様な新知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究成果を基に、平成27年度では、足関節周り(アキレス腱・下腿三頭筋)の皮膚を伸張刺激し、立位姿勢応答を評価する。本研究は、次の2つの実験からなる。実験1:200-350gの圧力を加えて皮膚伸張刺激した場合の刺激部位による影響について検討する。実験2:皮膚伸張刺激における圧力の影響について検討する。被験者数は、それぞれの実験で13名を予定する。アキレス腱、筋腱移行部、腓腹筋上の皮膚伸張刺激では、立位姿勢応答が異なることが予想される。
|
Research Products
(4 results)