2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between democratization and school physical education, sports in the Czech Republic
Project/Area Number |
26560328
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
上野 秀人 弘前大学, 教育学部, 教授 (00633611)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民主化 / チェコの学校体育 / 学校経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チェコの学校体育とスポーツがどのように民主化と呼応したかを明らかにすることを主目的としている。研究対象の期間を1945年から2017年までの約70年間とし、1989年のビロード革命を大きな境としながら考察した。 今日に至る「体育」の動向としては、ユネスコの2015年「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」と1978年「体育・スポーツ国際憲章」を比較検討し,社会背景とともに変化する体育・スポーツに対する役割・期待を整理し,基本的権利の継続,学校体育での運動実践のあるべき姿にふれた。 チェコにおける民主化と学校体育については次の知見を得た。まず、第2次大戦終結にともなう共産主義との融合と学校体育との関連がみられた。次に、1968年のチェコ共産党による「上からの民主化運動(プラハの春)」によりソ連,ワルシャワ条約機構軍の外的圧力と民衆による「下からの民主化運動」が再認識された。そして、1989年のビロード革命までの約30年間、民衆力の集結・下支えがあり、それが1989年以後のヨーロッパ化への体育・スポーツのあり方修正として呼応する。さらに今日では、チェコ共和国の身体活動と体育授業の先行例として,チェコ独自の指導書を2014年に作成し、「体の動かし方」を含め、学校体育の時間のみならず、地域および家庭での運動・遊び、休憩、栄養、給食など体育との関連を全体で示している。また、学校体育及び地域スポーツにおいてはオリンピズムの具現化が図られていた。現在の基礎学校の校長の権限としては、学習プログラムの策定・実施、教員の配置があり、学校と民主主義においては、学校・学級経営・学習活動の基本、内容を教えるにとどまらず価値や方法を学んでいた。 これらの調査結果を基に、日本における学校長の経営・主任教員への指導支援、民主的な態度育成に向けた体育授業実践としてまとめた。
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