2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560330
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野崎 とも子 千葉大学, 教育学部, 助教 (80125947)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テンポ / 生体機能 / 時間感覚 / パーソナルテンポ |
Outline of Annual Research Achievements |
健常成人30名のボランティアを募り、5段階のテンポ(心拍テンポ、心拍テンポを基準とした(+40テンポ)、心拍テンポを基準とした(-40テンポ)、被験者自身に自由にタッピングさせて得られたテンポ(タッピングテンポ)、1分間250回のテンポ)のメトロノーム音を聴取させながら生体反応(心拍数、呼吸数、最高・最低・平均血圧、自律神経機能、唾液アミラーゼ量)の測定を行い、各テンポと生理機能の関連を探った。その結果、各テンポと生理機能に規則的な関係は見られなかったが、5段階テンポのなかで選んだ個人が好むテンポ(快テンポ)と不快に感じるテンポ(不快テンポ)を聴取した際には、心拍数、平均血圧、呼吸数について、快テンポではそれぞれの値が減り、不快テンポでは値が増えるという関係性が見られた(P>0.01)。しかし、自律神経機能と唾液アミラーゼ量については、快テンポの聴取時と不快テンポの聴取時との間に関係性は見られなかった。 また、テンポに関係する被験者の性格傾向を知るために、YG性格検査から「のんきさ」や「一般活動性」の項目を抜粋した質問紙を作成し回答してもらった。同時に、時計を見ずに体感と数えで60秒を3回ずつ推測させ、その平均値より各被験者の持つそれぞれの時間感覚を割り出した。その上で、個人の性格傾向と時間感覚の結果と各人が好むテンポ(快テンポ)との関連を見たが、三者の間に有意な関係性は見いだされなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試行1年目に計画されていた脳機能検査(脳波、脳内血流量)以外は、ほぼ計画通りに実施された。試行2年目に計画していた自律神経機能の検査と計画にはなかった時間感覚を測定する実験も器械購入により行うことができた。その結果、各テンポの聴取時、特に快テンポ、不快テンポ聴取時の生体反応(心拍数、平均血圧、呼吸数)に差が見られ、研究計画に掲げたテンポ、性格、生体機能の三者の関係を解析し、また各テンポ聴取時の気分(快、不快)との相関も見ることができ、テンポが心身に及ぼす影響を測ることは、個人が持つ特有のテンポを探る手がかりとなり得ることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目にできなかった脳機能検査を実施し、テンポと脳機能の関係性を見る。加えて、時間感覚については母集団を増やし、再度分析を試みる。試行2年目に計画していた免疫機能(コルチゾール、IgA)に関しては、1年目の唾液アミラーゼの結果から関係性が見い出されなかったことや刺激反応性に時間のかかることから、この項目は外すことにした。かわりに即時反応性の高い自律神経機能を引き続き測定し、テンポ、脳機能、自律神経機能の関係を分析し、各テンポが生体にどのような変化を引き起こすかを探り、研究の目的に挙げた個人特有のテンポ(パーソナルテンポ)の解明につなげる計画である。
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Causes of Carryover |
初年度購入予定の近赤外分光方式酸素計の価格が、交付申請書に記載した金額より大幅な値引きがあったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
統計処理ソフトや印刷機購入に回す計画である。
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