2016 Fiscal Year Annual Research Report
Biological and cultural anthropological research on children's social behavior led by the neural reward system
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26560337
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Research Institution | Tokyo Seitoku College |
Principal Investigator |
八木 玲子 東京成徳短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (80281591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子ども / 社会行動 / 報酬系 / 生物学的文化人類学 / シェアリング / 協調 / 向社会的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の項目について研究を進めた。 1.文献・資料調査:平成27年度のフィールド調査で知己を得たインドネシア共和国・バリ州の伝統的集団遊びの継承者であり、国際的な研究者でもあるMADE TARO氏の著書の翻訳を進めた。当該著書に示された記録と、平成26年度~27年度の調査で現地収録した複数の伝統的集団遊びとを照らし合わせ、それぞれの名称と特色を明らかにするとともに、その遊びが子どものどのような活性を育むか、さらにそのことが社会にどのような作用をもたらすかについて、著者の記述する内容を明らかにした。 2.フィールド調査:バリ州におけるフィールド調査を継続し、子どもの遊びや伝統継承活動の支援を行っている現地の有識者、地域共同体の保護者や子どもを対象にヒアリングを行い、近年の国際化、近代化にともなう子どもたちの生活の変化や、電子機器が子どもたちに与える影響について取材した。また、集団遊びに伴う子どもの状態変化を調べる目的で、複数名の子どもを対象に、集団遊びの前後の唾液中の化学物質濃度の計測を行うこととあわせて、心理状態について問う質問紙への回答を得た。 3.映像音響記録物の解析:平成26~28年度のフィールド調査で記録した子どもの音遊び、集団遊びの映像音響記録物の解析を行い、遊びや活動の進行にともなう子どもたち相互の同期的行動の変化や、発生する音の同期の状態、周波数成分やゆらぎ構造の変化について多角的な検討を加えた。 4.生理・心理計測データの解析:フィールド調査で得られた生理・心理計測データの解析を行い、集団遊びの前後での子どもの生理的・心理的状態の変化に関する知見を得るとともに、両者の関係について検討した。 5.以上により得られた成果を総合し、「快」の情動に導かれて生ずる子どもの情報的シェアリング――他者と行う音遊びや集団遊びが子どもにもたらす作用と社会的機能について考察した。
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