2015 Fiscal Year Research-status Report
筋肥大を目的とした効果的なトレーニング法の開発:運動時の吸引酸素濃度に着目して
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26560353
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
宮本 直和 鹿屋体育大学, その他部局等, 准教授 (20420408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70511608)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋肥大 / 低酸素 / 筋酸素飽和度 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、科学的根拠に基づいたトレーニングプログラムが数多く考案されているにも関わらず、筋肥大を目的とした効果的なトレーニング法は数十年間変わっていない。本研究では、レジスタンス運動時に吸引する酸素濃度を低下させ、骨格筋内の酸素化レベルを低下させた状態でレジスタンストレーニングを行うと、従来法よりも大きな筋肥大を引き起こすことが可能であると仮説を立てた。この仮説を検証するために、(1)一過性のレジスタンス運動を対象に、筋内の酸素化レベルが最適となる吸引酸素濃度を決定し、(2)その酸素濃度を吸引した状態でのレジスタンストレーニングが、通常の酸素濃度吸引状態における従来法よりも効果的であるのかについて検討し、筋肥大に効果的な新たなトレーニングプログラムを開発することを目指す。平成27年度は、人間を対象とした近赤外分光法を用いた実験にて、レジスタンス運動中の筋酸素飽和度を定量すること(実験Ⅰ)、および細胞を用いた実験により、低酸素曝露自体が筋肥大を引き起こす機序となり得るのかどうかについて検討した(実験Ⅱ)。実験Ⅰでは、大腿四頭筋を対象としたレジスタンス運動(80%1RMの負荷にて、8回/セット、4セット、セット間休息:90秒)を行わせ、その際の外側広筋の中央部および遠位部の筋酸素飽和度を測定した。その結果、中央部の酸素飽和度は約30%であったのに対し、遠位部の酸素飽和度はそれよりも有意に低かった(約20%)。この結果と、同様のレジスタンス運動を3ヶ月行わせ、その際の筋肥大率を報告している先行研究の結果と併せて考えると、レジスタンス運動時の筋酸素飽和度が低い方が筋肥大率が大きいことを示唆している。実験Ⅱでは、低酸素曝露により筋肥大マーカーが増加する傾向が観察されたが、サンプル数の追加をはじめとするさらなる検討であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者が在外研究休暇(サバティカル)の半年間、別課題の研究を実施するためにデンマークに滞在した。当初の予定では、研究分担者が実施した実験Ⅱの結果を踏まえて、実験Ⅲを実施する予定だったが、実験Ⅱが未完結のため、実験Ⅲには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで以上に研究分担者と密に連絡を取り合い、精力的に実験を進める。
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Causes of Carryover |
家庭の事情(妻が育児休暇による休職から復帰したこと、および、1歳児の育児)により、国際学会に参加することが厳しい状況になり、当初予定していた国際学会での研究成果発表が行えなくなった。また、研究分担者のサバティカルにより、当初予定していた実験が行えなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者と密に連絡を取りながら着実に実験を進捗し、27年度に使用予定であった謝金や消耗品は繰り越して使用する。また、家族の許可・協力を得て、国際学会での研究成果発表を行う。
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