2015 Fiscal Year Annual Research Report
動脈スティフネスはコンディションの指標になり得るか?
Project/Area Number |
26560359
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡本 孝信 日本体育大学, 体育学部, 教授 (40330518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脈波伝播速度 / 無酸素性運動能力 / 有酸素性運動能力 / コンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は動脈スティフネス(硬化度)が無酸素性および有酸素性運動能力に及ぼす影響について検討し、コンディショニングの指標として有用か否かについて明らかにすることを目的としている。本年度は日ごろから専門的にトレーニングを行っている成人男性および女性を対象としてフィールドにおいて動脈スティフネスの変化が無酸素性および有酸素性運動能力に及ぼす影響について検討した。被験者は測定室入室後20分間の安静を取り、動脈スティフネスの指標として上腕―足首脈波伝播速度(baPWV)や筋スティフネスの指標として筋硬度および長座体前屈を測定した後、フィールドに移動し、5分間のウォーミングアップ後、無酸素性運動能力の指標として50m走のタイムトライアルを、有酸素性運動能力の指標として1500m走のタイムトライアルを行った。それぞれの測定は1週間以上の間隔を空けて2回測定し、得られたタイムを動脈スティフネスが高い時と低い時で分類した。その結果、動脈スティフネスが低い時の50m走および1500m走のタイムトライアルの記録は動脈スティフネスが高い時と比較して有意に低い値を示した(p<0.05)。すなわち、いずれの能力も動脈スティフネスが低い時(動脈が軟らかい時)にパフォーマンスが高くなると考えられた。一方、筋硬度はスティフネスが低い時、長座体前屈は柔軟性が高い時のいずれにおいて、有意差は認められなかったものの、50m走および1500m走のタイムトライアルの記録はスティフネスが高い時および柔軟性が低い時と比較して低い値を示した。このように、動脈スティフネスや筋スティフネスは無酸素性および有酸素性運動能力に影響を及ぼすことが明らかにされた。以上のことから、動脈スティフネスは無酸素性および有酸素性運動能力のコンディションを表す指標として有用であるものと考えられた。
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