2015 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト電極を用いた長期筋内筋電図記録による筋損傷回復過程の評価
Project/Area Number |
26560364
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永富 良一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20208028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソフト電極 / 筋電図 / 自由行動 / 再生 / 筋損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋にはさまざまなレベルの損傷が日常的に起こり、組織学的な回復過程については我々を含めて多くの研究者が追求している。しかし骨格筋の最大の特徴である電気的な機能の回復過程についてはほとんど明らかにされていない。表面電極や針電極を用いた短時間の筋電図記録は行われているが、2 週間程度かかる筋損傷の回復過程を連続的に評価した例はない。表面筋電図は長時間の記録を取ることも可能であるが、皮膚に同じ状態で数週間にわたる長期に電極を接触させておくことは困難である。針電極も骨格筋の収縮に伴う変位組織損傷は起こるので長期間の計測は困難である。そこで分担研究である鳥光慶一が開発した生体適合性の高いシルク糸に導電性材料を結合させたシルク電極をモデル動物の骨格筋に留置し、骨格筋損傷からの電気的な活動の回復過程を観察することを目的として研究を実施した。1年目はマウスの腓腹筋にシルク電極を挿入し、筋電活動の記録を試みた。しかしシルク挿入による侵襲が大きいことと、ノイズの除去がソフトフィルターでは不十分であり、損傷評価に耐える長期記録は実現できなかった。そこで2年目は対象動物をラットとして、同様に腓腹筋に電極を挿入した。しかし電極挿入による損傷は無視できないと判断したため、腓腹筋筋膜直上にシート状にしたシルク電極を留置した結果、留置1週間後よりテレメータによる無拘束・無麻酔の安定した筋電図記録に成功した。左右腓腹筋よりそれぞれテレメータ筋電図記録が可能になったラットの片脚の腓腹筋に蛇毒カルディオトキシンを注入し筋損傷を作成し、無拘束・無麻酔の状態で筋電図記録を1週間行った。健側との比較において組織学的な損傷の経過と矛盾しない筋電図変化が観察された。今後例数を重ね、再現性の確認と所見の妥当性を確認する予定である。
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