2014 Fiscal Year Research-status Report
蚊を模倣した超低侵襲採血機能を有するバイオセンシングチップの構築
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26560365
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹越 一博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40261804)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポンプ / 電気化学 / 水素 / 白金黒 / 無痛針 |
Outline of Annual Research Achievements |
超低侵襲血液分析を目指したマイクロポンプの試作と評価を進めてきた。本研究で作製したマイクロポンプは、水の電気分解により水素ガスを発生させ、これを電位印加により酸化・収縮させる。この際の水素バブルの体積変化により溶液の押し出しと吸引を行う。デバイスは、電極パターンが形成されたガラス基板と、流路が形成されたポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)から構成される。ガラス基板には白金黒作用極、銀/塩化銀参照極、白金対極からなる3電極系を形成した。作用極には発生した水素ガスによる電解液の断絶を防ぐための微小壁構造を形成した。流路に0.5 MのHClを満たしたのち、ポテンショスタットを用いて作用極に-1.2 Vおよび0 V (vs. on-chip Ag/AgCl) を印加し、水素バブルを発生および収縮させた。また、流路の末端に微小針を取り付け、水素バブルの収縮によってサンプルの吸引を行った。 デバイスの評価を行ったところ、電位の制御によるマイクロポンプの動作が確認された。吸引速度は印加電位を正にするほど速くなることが確認された。また、デバイスからリード線を取り外しても水素ガスの収縮が確認された。これは、白金黒電極上で水素ガスがデバイス外から流入した酸素により酸化されるものと考えられる。このことは酸素の流入を遮断した場合に水素と酸素の反応による混成電位の上昇が抑えられたことにより確認された。さらに、流路の末端に取り付けた外径180 μm (34G) の無痛針から約500 nLのサンプルを吸引することができた。これは、デバイス内におけるセンシングが可能な量である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気化学的原理を利用することにより、単純な構造・原理により、微小針を通して外部溶液を吸引できるところまで確認した。平成27年度は、センサの集積化、全血を用いた評価、マウス等の小動物からの採血へと展開してゆくが、ポンプ自体の試作・評価が最も時間を要するところであり、この意味で計画は概ね順調に進んでいると言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はポンプの作製と特性評価を行い、微小針を装着して外部液を吸引することもできた。平成27年度はポンプとともにグルコース(血糖)を検出する電気化学センサを集積化し、マウス等の小動物から微小針を通して吸引した全血中のグルコースを検出する実験を試みる。
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Causes of Carryover |
デバイスの試作・評価に必要な資材は平成26年度末までに使用する分については間に合っていた。保存中に劣化する試薬もあり、繰り越し可能であるため、平成26年度中に無理に購入することはせず、平成27年度、必要になった際に補充することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要になった時点で、デバイスの試作・評価に必要な資材の購入にあてる。
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Research Products
(1 results)