2015 Fiscal Year Annual Research Report
蚊を模倣した超低侵襲採血機能を有するバイオセンシングチップの構築
Project/Area Number |
26560365
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹越 一博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40261804)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超低侵襲 / マイクロポンプ / 水素バブル / 電気分解 / 微小針 / 全血 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ポイントオブケア(POCT)が注目を集めているが、これにはセンサチップを備えた携帯型測定器が必要となる。ここでは被検液や試薬の送液が必要になるが、送液機構の導入が課題となる。この点において、電気化学的原理に基づくポンプは有望である。本研究では、超低侵襲採血を最終的な目標に、電気化学的に水素バブルを生成・消滅させることにより駆動するマイクロポンプを作製した。このマイクロポンプは、白金黒作用極、銀/塩化銀参照極、白金対極からなる3電極系を形成したガラス基板と微小容器・流路構造を形成したポリジメチルシロキサン(PDMS)基板を接合することにより形成した。これらの電極は薄膜パターンとしてリフトオフにより形成した。電極を含む微小容器には0.5 M塩酸を満たし、ポテンショスタットにより作用極に一定電位を印加し、水素ガスを生成および消滅させた。これに伴う微小流路内の圧力変化により内部液を排出し、外部液を吸引した。作用極には壁状構造を形成し、作用極容器中にバブルが充満した場合でも壁底部に表面張力により電解液が残り、水素バブルにより回路が切れないようにした。電位をより負にするほど水素ガスの生成速度が増大することが確認された。逆に、水素バブル生成後、電位をより正にするほど水素バブルの消滅速度が増大することが確認された。流路末端に外径180 μmの無痛針を取り付け、外部液の吸引を試みた。水素バブルの収縮に伴い、約500 nLの外部液の吸引を確認した。また、このマイクロポンプとアンペロメトリックグルコースセンサを集積化したデバイスを作製し、標準液および全血を無痛針を通して吸引後、グルコース濃度を測定する実験を行った。標準液を用いた場合、直線的な検量線が得られた。全血を用いた吸引・濃度測定実験も行ったが、現状では血液分析装置で求めた値と隔たりが大きい。この点については今後改良を加えてゆく。
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Research Products
(2 results)