2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560366
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 靖之 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90442954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸 / 分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素キナーゼ / 運動トレーニング / 持久走 / マウス / コンディショナルノックアウト / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、筋特異的branched-chain α-ketoacid dehydrogenase (BCKDH) kinase (BDK)ノックアウトマウスを作製して、その運動能力、運動トレーニングへの適応性、および筋ミトコンドリア機能を中心に解析した。このノックアウトマウスの体重、臓器重量、および血液成分濃度は、血漿分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度を除いて、コントロールマウスのそれらと有意な差は認められなかった。このマウスの血漿BCAA濃度は、長期トレーニングの有無にかかわらず、コントロールマウスの約1/2のレベルにあり、有意な低値を示した。ノックアウトマウスでは筋肉のBDKが欠損しているため筋肉のBCKDH複合体が活性化され、BCAA分解が促進されたと考えられる。トレーング前のマウスの運動能力(持久走距離)を測定したところ、興味深いことにノックアウトマウスはコントロールマウスよりも運動能力がわずかに高い傾向にあった。BCAA代謝系はそのほとんどがミトコンドリアに局在するため、おそらくこのノックアウトマウスではミトコンドリア内でエネルギー基質が常に供給されている状態であることが推察される。そのため、トレーニング前のノックアウトマウスは持久運動能力が対応するコントロールマウスよりも高い傾向を示した可能性が示唆される。一方、長期トレーニング後では、コントロールマウスはトレーニングに適応してその持久運動能力はトレーニング前と比較して約2倍に上昇したのに対して、ノックアウトマウスでは長期トレーニング後でも持久運動能力はほとんど変化せずトレーニング前と同様であった。これらの所見より、筋肉におけるBCAA濃度が低下した状態では、運動トレーニングに適応することができない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋特異的branched-chain α-ketoacid dehydrogenase (BCKDH) kinase (BDK)ノックアウトマウスの運動トレーニングに対する適応能が低下していることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
筋特異的branched-chain α-ketoacid dehydrogenase (BCKDH) kinase (BDK)ノックアウトマウスの運動トレーニングに対する適応能の低下のメカニズムを解明する予定である。
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