2014 Fiscal Year Research-status Report
アクセラレーション刺激による筋損傷治癒促進効果の検証
Project/Area Number |
26560367
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 史倫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90346156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00283747)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 骨格筋損傷 / 全身振動 / 筋再生 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ障害の多くは骨格筋損傷を伴うが、現在のところ、筋損傷に対する効果的な処置法が確立されておらず、ほとんどの場合で自然治癒に頼らざるを得ない。本研究では、加速度変化によるメカニカルストレス(アクセラレーション刺激)が筋再生にどのような効果を果たすのか検討を行っている。 平成26年度は、アクセラレーション刺激による筋再生促進効果の有無について検証実験を行った。成熟ラットのヒラメ筋にカルジオトキシンを注入し薬理的筋損傷を誘発した後、介入群と非介入群に分けた。アクセラレーション刺激は、パワープレート(パワープレート・インターナショナル社製)を用いて負荷した。介入群のラットを個別にケージに入れ、パワープレートのプラットフォームに固定した。損傷後3日目からパワープレートによる介入を開始し、30Hzの連続振動を1日当たり10分間、毎日実施した。非介入群は通常飼育した。ヒラメ筋のサンプリングは7日目と14日目に行った。その結果、体重に対する相対筋重量は、7日目において介入群で有意に増大したが、14日目では介入群と非介入群の間に差はなかった。更に、各種筋分化マーカーを組織化学的に染色し、筋再生のステージ別に評価を行った。Pax7陽性の筋芽細胞は、7日目において介入群で有意に多かった。また、ジストロフィンの周辺局在が認められる成熟した筋線維のサイズが、14日目において介入群で有意に大きいことも分かった。以上の結果から、アクセラレーション刺激は、特に筋再生初期の立ち上がりを早める効果があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成目標は、「アクセラレーション刺激が筋再生のどのステージに効くのか」を明らかにすることであった。筋再生初期(7日目)において、Pax7陽性の筋芽細胞数が介入群ですでに多くなっていることから、再生の最初期に効果をもたらしていることが明らかであり、当初の目標は達成できたと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
筋再生を評価するためのチェックポイントとして、筋芽細胞数や筋線維サイズの計測を行ったが、更に詳細な筋分化ステージ別の評価が必要であるため、現在も新たな筋分化マーカーの染色により解析を進めている。平成27年度は、アクセラレーション刺激が筋再生を促進した原因として、「どのような生理機能を改善したのか」という点について明らかにできるよう、実験をデザインし実施する。それらの分子メカニズムに関する手掛かりも得る必要がある。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の異動により、初年度の備品購入が困難になったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に、実験機器のリース料として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)