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2014 Fiscal Year Research-status Report

運動誘発性炎症作用における翻訳動態変化の網羅的解析

Research Project

Project/Area Number 26560370
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

鈴木 克彦  早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80344597)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords網羅的解析 / リボソームプロファイリング / 翻訳調節 / フレームシフト / 翻訳速度
Outline of Annual Research Achievements

運動による炎症・抗炎症作用の制御機構を体系的に理解するために、遺伝子やタンパク質の発現に関する網羅的な解析が行われてきた。しかし、遺伝子の転写産物であるメッセンジャーRNA(mRNA)からタンパク質へと変換される翻訳調節の網羅的な解析に関しては、技術的に困難な点も多く、これまでほとんど実施されていなかった。そこで本研究では、実験動物の運動誘発性炎症モデルを用いて、運動による炎症・抗炎症作用における翻訳調節の重要性を網羅的に解析し、従来にない新しい概念となる作用機序の解明に挑戦することを目的とする。
本研究の目的を達成するために、網羅的に翻訳動態を解析できる生体外の技術であったリボソームプロファイリングを生体内の技術へと独自に応用した。具体的には、確立した生体内リボソームプロファイリングを、マウスの運動誘発性炎症モデルに応用し、運動と炎症における翻訳調節を網羅的に解析した。一過性の中強度(20m/分のトレッドミル走を1時間)の運動負荷を1時間行ったC57BL/6J雄マウスから血液と骨格筋(運動前、運動直後、運動後1時間、2時間、4時間、6時間)を採取し、骨格筋(運動前、運動直後)に対し生体内リボソームプロファイリングと網羅的mRNA発現解析(mRNA Sequencing;mRNA-Seq)を行った。
そして転写調節非依存的な翻訳調節を発見するために、mRNA-Seqによって遺伝子発現量の変化を、生体内リボソームプロファイリングによって翻訳量の変化を網羅的に解析した。さらに、独自に構築した解析パイプラインを用いて、一つのmRNAから複数のタンパク質が産生されている現象(フレームシフト等)も検討したことに加え、独自に開発したバイナリー法を用いて翻訳速度の高精度での検討も可能にした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の予定としては、26年度に生体外リボソームプロファイリングを生体内へと応用する技術を確立し、27年度にマウスの運動誘発性炎症モデルに応用する予定であったが、本研究は当初の計画以上に進展しており、26年度に生体内リボソームプロファイリングを確立し、すでにマウスの運動誘発性炎症モデルへの応用に成功している。
さらに、さまざまな翻訳動態変化の解析も進んでおり、本研究の目的であった転写調節非依存的な翻訳調節の発見に関しても、すでにターゲットを絞って詳細な検討を始めており、翻訳調節・翻訳後調節を含んだ当初予想していなかったダイナミックな変化をとらえることに成功している。
当初の計画以上の進展のなかでも特筆すべきは、独自の解析パイプラインや新しく考案した解析法「バイナリー法」を確立できたことである。独自の解析パイプラインを構築したことによって、一つのmRNAから複数のタンパク質が産生されている現象(フレームシフト等)を複数の遺伝子から検出することに成功した。そしてバイナリー法の確立によって、今までノイズが大きく不可能であった高精度での生体内翻訳速度変化の解析にも成功し、翻訳しているリボソームがmRNAのどこで停滞するのか、そして翻訳産物である特定のアミノ酸残基(もしくは残基配列)がリボソーム複合体内のどこに位置したときに翻訳速度に影響を及ぼすのかを、1塩基単位の高精度で検討できるようになった。
以上の点を踏まえると、本研究課題における26年度の達成状況は当初の計画以上に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の当初の目的はすでに達成できている。そのため、今後の推進方策としては、本研究成果を論文として発表することに加え、本研究における翻訳調節の網羅的解析は一過性運動刺激の特定の時間軸(運動前と運動直後)に特化したものであったため、今後は一過性運動刺激後の複数の時間軸(運動後4時間後など)における解析や、一過性運動ではなく運動トレーニングや老化による変化がもたらす骨格筋の翻訳動態変化の解析が考えられる。
そして、本研究においても発見された、一つのmRNAから複数のタンパク質が産生されている現象(フレームシフト等)や翻訳速度の変化に関しては、これらが一過性運動後の異なる時間軸によってどのように変化しているのかが検討可能である。また、一過性運動刺激によって、フレームシフトによる副産物量に変化が見られることから、フレームシフト産物の生理的意義の検討や、翻訳速度の変化がもたらす生理的重要性(タンパク質の折り畳まれ方の変化など)の検討も考えられる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Discover the Sophistication of Translational Regulation2014

    • Author(s)
      Hiroaki Sako and Katsuhiko Suzuki
    • Organizer
      Big Biology and Bioinformatics (B3) 2014 Symposium
    • Place of Presentation
      Queensland University of Technology
    • Year and Date
      2014-11-25
  • [Presentation] 翻訳動態の網羅的解析が明らかにする新しい可能性2014

    • Author(s)
      佐古博皓、鈴木克彦
    • Organizer
      第69回日本体力医学会大会
    • Place of Presentation
      長崎大学
    • Year and Date
      2014-09-21

URL: 

Published: 2016-05-27  

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