2015 Fiscal Year Research-status Report
端末プログラム活用による児童生徒の精神健康の客観的評価と学校間共通システムの開発
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26560378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校保健 / 保健室 / タブレット / 情報収集 / 養護 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要は、以下の通りである。本研究は学校の保健室に来室する児童生徒が抱える精神保健上の問題を、systemtaticに見落としなく、かついずれの学校でも共通した基準で養護教諭が評価するためのタブレットを用いた補助的ツールを開発し、その妥当性・信頼性を検討することを目的とするものである。平成27年度は、このツールに搭載する質問紙(基本的に、国際的に使用されている質問紙で、かつ標準化された日本語版のあるもの)の選択を、試作版の模擬使用により学校の養護教諭や児童生徒から得られた意見・感想をもとに再考し、かつ実際の使い勝手を考慮しながら、文言や、質問の順番・構成などを検討した。これについて、普段から学校精神保健を勉強会・研究会を一緒に行っている複数の養護教諭から意見を求め、そのまとめを行った。それをもとに、搭載する質問、結果の表示方法等について最終案をまとめ上げた。また、これを試用してくれる学校のリクルートを、講演会、研究会、さらにマスコミの取材などを通じて進めた。本ツールの開発で特に力を入れていることは、中高生から増加する自傷行為や高校生か急増する自殺の危険性をしっかりとdetect出来るようにすることである。なお今年度の再検討・改良では、1)実際の学校での試用を進めるため、可能なかつ必要なものが省略されない範囲で質問内容を簡素化すること、2)養護教諭がタブレット上の質問を児童生徒に行う時に、質問しやすい自由度を持たせること、3)得られた結果の臨床上の意味を判断を養護教諭がしやすいように(また、保護者への説明などにも使いやすいように)表示方法を工夫することに重点を置いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由は、最終年度であるにも関わらず、最終版の完成とその評価にまで至っていないことである。これは本研究に主に従事している研究者が、個人的な事情により、予定していた時間を本研究に割くことが不可能であったことによる。このため平成28年度に延長申請を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、質問とその構成の最終版を固定化し、それを実際にタブレットに搭載すること、この改良版のタブレットを現在試用に協力してくれている学校に配布しなおし、またそれ以外にも協力校を増やして、本ツールの妥当性・信頼性を確認する。また試用で得られたデータを解析して、保健室来室児童生徒の精神的健康状態を検討し、これまでこのようなツールを使用することなく養護教諭が評価していた結果との違いを解析する。
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Causes of Carryover |
本研究で代表研究者と2人で研究に従事してきた博士課程大学院生の近親者が重症疾患を急性に発症し、その介護に家族全体で取り組まざるを得ない状況となったため、当該大学院生はこの1年近く、実家のある地方で過ごす日が付きの半数以上におよび、かつその大半の時間を実際の介護や介護中の他の家族の支援に充てる必要が生じた。この予定外の事態のため計画の進捗が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ツールの質問内容の確定と搭載、試用校でのツールの妥当性・信頼性の確認検討、児童生徒全体の精神的健康状態に関して得られたデータの収集、解析を進める。
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Research Products
(2 results)