2014 Fiscal Year Research-status Report
運動後の脂肪酸化亢進の機序の解明:代謝内分泌機能の網羅的解析
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26560390
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳山 薫平 筑波大学, 体育系, 教授 (00207565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 誠 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50242409)
緒形 ひとみ 筑波大学, 体育系, 特別研究員(RPD) (80455930)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタボリック・チャンバー / ヒューマン・カロリメータ / 朝練習 / 脂肪酸組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動が体脂肪を減少させる効果について検討するためには、運動後の回復期も含めた丸一日の脂肪酸酸化量を測定するして検討を進めている。これまでのところ、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが釣り合うよう食事の摂取量を調節した条件下では、朝食前に運動すると24時間の脂肪酸化量は増大するが、同じ運動を朝食後、昼食後あるいは夕食後に行っても24時間の脂肪酸化量に有意な増大は認められないことを見出して報告した。この現象の代謝内分泌的な機序をあきらかにするために、平成26年度は新たに下記について検討した。 1. 実験条件の再検討 朝食前の運動の効果を際立たせるには運動強度を上げて量を増やすことが有効であり(最大酸素摂取量の65%強度で100分)、比較的少数例の検証で統計学的に有意な差を示して検討することが可能であるが、被験者負担が大きく、このような運動実験を行うことができる被験者の確保が困難であった。一方、弱い運動で比較的短時間の条件(50%強度で60分)での検討では多数の被験者が必要となり実験遂行上の負担が大きい。これらを吟味して、60%強度で60分という条件を決めて研究を開始した。 2. 間接熱量測定時の採血方法の確立と血中脂肪酸組成に及ぼす運動の影響についての検討 エネルギー代謝を連続して測定するための密閉室(メタボリック・チャンバー)に居住したまま腕のみをチャンバーから出して採血する手法を確立した。運動により血中の脂肪酸組成が変化(脂肪組織からの脂肪動員を反映して不飽和脂肪酸の比率が増大)することが知られているが、この運動の影響が運動する時間帯の違いにより異なるか検討を開始した。ガスクロマトグラフ質量分析機で脂肪酸組成の分析方法を確立し、研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血漿のメタボローム解析から脂肪酸組成の網羅的解析に研究上の戦略を変更した。そのことにより運動後に血中脂肪酸の不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比の上昇が認められ、大旨順調に進呈していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 血液の分析について 血液のメタボローム解析全般を当初は計画していたが、情報収集の結果、脂肪酸組成に限定した網羅的解析の方が、これまで私達が進めてきたエネルギー代謝研究の発展につながると考えて計画を進めている。なお、採血に際しては血漿を小分けにして保存しており、他のマーカーの分析にも供する予定である。追加測定の候補としては肝臓から分泌されて骨格筋の代謝を調節すると考えられている因子(ヘパトカイン)であるLECT2やserenoprotein Pを計画している。
2. 実験条件の追加について 朝食前の運動が24時間の脂肪酸化に及ぼす影響は運動後の食事内容、特にその脂肪の種類によっても大きな影響を受けることが最近明らかになってきている。従って、本研究においても朝練習後に摂取する食事の脂肪酸組成を変えた場合の検討も加えたい。脂肪酸組成の異なる食事の提供については、東京聖栄大学の矢島克彦氏が開発したマフイン(飽和脂肪酸vs不飽和脂肪酸)の提供をうけて研究を進める。既に、被験者が風味の違いなどからマフインに含まれている脂肪酸の違いを言い当てることができない理想的な食事の作成に成功し、また摂取する脂肪酸の違いがエネルギー代謝(脂肪酸化量や呼吸商)に予想通りの影響を及ぼすことを確認している。
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Causes of Carryover |
本研究の目的を効率的に達成する運動条件の設定(被験者の負担が過大とならず、運動する時間帯の違いが明確に検討できる)の検討を行い、血液分析については分析方法の検討を終えているが、本格的な多検体の分析は平成27年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多検体(血液)の本格的な分析費用に充てる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Transient energy deficit induced by exercise increases 24-h fat oxidation in young trained men.2015
Author(s)
Iwayama K, Kawabuchi R, Park I, Kurihara R, Kobayashi M, Hibi M, Oishi S, Yasunaga K, Ogata H, Nabekura Y, Tokuyama K.
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Journal Title
J Appl Physiol
Volume: 118
Pages: 80-85
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] LECT2 functions as a hepatokine that links obesity to skeletal muscle insulin resistance.2014
Author(s)
Lan F, Misu H, Chikamoto K, Takayama H, Kikuchi A, Mohri K, Takata N, Hayashi H, Matsuzawa-Nagata N, Takeshita Y, Noda H, Matsumoto Y, Ota T, Nagano T, Nakagen M, Miyamoto K, Takatsuki K, Seo T, Iwayama K, Tokuyama K, Matsugo S, Tang H, Saito Y, Yamagoe S, Kaneko S, Takamura T.
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Journal Title
Diabetes
Volume: 63
Pages: 1649-1664
Peer Reviewed / Open Access
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