2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病病態における解糖系代謝物の関与:新規インスリン抵抗性獲得モデルの立証
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26560397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 亘 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (60724292)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メチルグリオキサール |
Outline of Annual Research Achievements |
解糖系代謝物であるメチルグリオキサールは、これまでに糖尿病患者の血中メチルグリオキサールレベルが高いことから、糖尿病との関連が指摘されてきた。しかしながらメチルグリオキサールと糖尿病の因果関係や、その分子機構などについてはよくわかっていない。インスリン抵抗性は2型糖尿病の主な病態の一つであり、IRS-1(インスリン受容体基質)のセリン・スレオニン残基のリン酸化の亢進はインスリン抵抗性の原因となり得る。インスリンシグナル伝達経路において、インスリン刺激により活性化したmTORC1-S6K経路が、IRS-1のセリン・スレオニン残基のリン酸化を介してインスリンシグナル伝達を遮断する負のフィードバック機構が存在する。マウス脂肪細胞においてメチルグリオキサールがmTORC1-S6K経路を活性化することを見出したことから、本研究では、メチルグリオキサールが負のフィードバック機構の活性化を介してインスリン抵抗性の惹起に関与する可能性を考え、このモデルの立証を目的とする。 脂肪細胞に分化させた3T3-L1細胞を用いて負のフィードバック機構に及ぼすメチルグリオキサールの影響について検討した結果、メチルグリオキサールはIRS-1の307番目、および632番目のセリン残基のリン酸化を亢進した。メチルグリオキサールによるIRS-1のリン酸化の亢進はmTORC1阻害剤であるラパマイシン処理により起こらなくなった。また、メチルグリオキサールのインスリン抵抗性に及ぼす影響について、インスリン刺激によるAktやFOXO1のリン酸化を指標にして検討した。その結果、メチルグリオキサールの前処理は、mTORC1の活性化依存的にインスリン刺激によるAktやFOXO1のリン酸化を阻害することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メチルグリオキサールによるmTORC1-S6K経路の活性化によりIRS-1のセリン残基のリン酸化の亢進が起こることを脂肪細胞で明らかにするとともに、メチルグリオキサールの前処理がインスリン抵抗性様の作用を引き起こすことを示すことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞での解析結果をもとに、マウス個体においてもメチルグリオキサールがmTORC1-S6K経路の活性化を介してインスリン抵抗性様の作用を引き起こすかどうかについて検討する。また、メチルグリオキサールによるmTORC1-S6K経路の活性化機構についても脂肪細胞を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
本年度は、動物細胞を用いた解析(特にシグナル伝達系の解析)の進展がみられたことから、シグナル伝達系の解析を中心に取り組むために、糖取り込み実験やマウス個体を用いた解析を次年度に持ち越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物細胞を用いた実験に加えて、マウス個体解析に用いる試薬・消耗品等の購入、ならびに学会での成果発表や論文投稿にかかる費用に使用する予定である。
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