2015 Fiscal Year Research-status Report
神経生理学的検証に基づく高齢脳再生を促す3次元視聴覚刺激動画像の開発
Project/Area Number |
26560401
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30336028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳内ニューロネットワーク / 脳可塑性 / 三次元視聴覚刺激 / 脳磁図 / 脳波 / 機能的MRI / 自律神経活動 / 健常脳と高齢脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、健常脳と高齢脳に対して、3次元動画像が脳機能や自律神経機能に及ぼす影響を、電磁気生理学的手法、脳機能画像および自律神経機能検査を用いて検討することである。平成27年度は、研究協力者①(池田拓郎)とともに、健常成人(健常脳)と老年者(高齢脳)を対象に、3種類の視聴覚的activityの異なる3次元動画像を用いて、MEG、脳波および自律神経機能を記録し、感覚刺激の違い(視覚のみ、聴覚のみ、視覚と聴覚混合)による脳内情報処理過程の相違と自律神経機能との連関を、時系列で検討した。その結果、健常脳に比べて高齢脳では、感覚刺激に対する注意分散刺激で、神経興奮伝導のメルクマールとなる高周波γ帯域律動波の分布領域の減少と前頭部θ波の振幅減少が認められた。また、刺激に集中されると、γ帯域律動波や前頭部θ波の分布領域は広がっていた。これは、高齢脳での注意集中に広範囲の脳領域の活性化が必要で、かつ一度注意が低下すると脳全体の活動量が低下してしまうことを示す現象と考えられた。一方、経時的に行った視聴による自律神経活動や脳活動の変化は認められなかった。 平成28年度は機能的MRIを用いて、この電磁気生理学的知見との関連性を脳内ネットワークの観点から研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は行えなかった経時的な3次元視聴覚刺激の視聴による効果を確認することができ、本年度は機能的MRIを用いて健常脳と高齢脳での脳内神経ネットワークの相違を検討するところまで研究を進行できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
機能的MRIを用いて健常脳と高齢脳での脳内神経ネットワークの相違を検討し、今までの結果と合わせて、高齢脳を再生するための外的感覚刺激手法の考案をめざす。 具体的には、今まで用いた3種類2条件の動画像を視聴させて、各刺激条件や各動画像でのBOLD効果の変化をMRIで測定して脳内マッピングを行い、感覚刺激と動画像のactivityの違いによる脳部位の活性化の相違をネットワーク解析(LISREL)を用いて解析する。動画像の違いや質の違い、場面変化の違いに伴う脳内ニューロネットワークの相違を導き出し、電磁気生理学的結果と併せて、刺激の違いが高齢脳に与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度の謝金などの人件費の支出が生じなかったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
① 脳血流変化による脳賦活効果を検討する目的で、fMRIを測定する必要があり、関連病院の3T(テスラ)-MRIを借用する。その費用として1人当たり1回(2時間)15,000円、10人が2回記録するための300,000円を計上している。 ② 旅費等:研究成果をまとめる(データ整理)ための関連論文の複写費や成果の印刷費、学会発表(日本臨床神経生理学会, 国際学会(Neuroscience meeting, USA)等)時の旅費に使用する。
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Research Products
(5 results)