2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560402
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
宇田 宗弘 弘前学院大学, 看護学部, 講師 (80549262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 翻訳後修飾 / α-アクチン / SUMO化 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは遅筋線維であるヒラメ筋において通常のα-アクチンよりも分子量が大きいα-アクチンを発見し、その発現量が主に速筋線維で構成される足底筋とは異なる可能性を見出していた。そこで平成26年度は新たに発見したα-アクチン(新規α-アクチン)の分子量の増加に影響を及ぼす可能性のあるユビキチン化とsmall ubiquitin-like modifier(SUMO)によるタンパク質の翻訳後修飾について検討した。また新規α-アクチンの細胞内の局在についても検討した。実験動物には6か月齢のオスのF344ラットを使用した。ヒラメ筋と足底筋を採取し、サンプル抽出を行い、2次元電気泳動を行った。また液体クロマトグラフィー/質量分析装置を用いてタンパク質の同定を行った。ヒラメ筋と足底筋における相対的なタンパク質含有量の違いは画像解析で行った。タンパク質の翻訳後修飾の検出は抗ユビキチン化抗体と抗SUMO-1抗体、抗SUMO-2抗体を用いてウェスタンブロッティングで検出した。さらにヒラメ筋を用いて細胞分画を行い、抗α-アクチン抗体によるウェスタンブロッティングで新規α-アクチンの細胞内の局在を検討した。実験の結果、ヒラメ筋において約60kDa付近に濃いスポットが観察され、このスポットのタンパク質を解析した結果、新規α-アクチンであることを確認した。次に新規α-アクチンの分子量に影響を及ぼす翻訳後修飾を検討した結果、新規α-アクチンはSUMO-1により修飾されている可能性が高いことが明らかになった。また新規α-アクチンは足底筋よりもヒラメ筋のほうが多いことが明らかになった。さらに細胞分画を行った結果、約60kDaの新規α-アクチンは核画分と可溶性画分に局在し、収縮タンパク質画分には局在しない可能性のあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では平成26年度から加齢や身体運動の影響を検討するための実験を行う予定であったが、平成26年度より所属する研究機関を異動し、実験設備や研究環境が大きく変わったため、当初の予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では加齢と運動トレーニングという数か月から数年の期間を必要とする実験モデルを用いて、新規α-アクチンの機能と筋機能との関わりを検討する予定であったが、研究がやや遅れていることもあり、実験モデルを変更して実験を進める予定である。したがって、平成27年度は尾懸垂モデルを用いて、ラットの後肢の筋活動を低下させて筋萎縮を生じさせたのちのヒラメ筋と足底筋を採取して、新規α-アクチンの解析を行う。本実験モデルは加齢により萎縮する筋とは異なる筋に影響を及ぼすが、短期間で筋萎縮や筋線維タイプの変化を生じさせることができる。このような違いはあるが、本研究の目的である新規α-アクチンの機能と筋機能との関わりを明らかにすることには影響がないことから、実験モデルを変更して研究を進める。
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Causes of Carryover |
実験に必要な試薬や実験機器を購入できる金額ではないため、平成27年度の研究費として使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試薬、あるいは実験機器の購入に使用する予定である。
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