2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560404
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
奥津 光晴 名古屋市立大学, その他の研究科, 講師 (80409755)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 / 運動 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
定期的運動は動脈硬化症などの循環器系疾患の予防に効果があることが近年の疫学調査より報告されている。しかしながら、運動が動脈硬化症を予防する分子メカニズムを解明し予防や治療への応用を試みた報告は少ない。そこで本研究では、オートファジーに着目し、運動による大動脈のオートファジーの変動と動脈硬化症予防との関連を検討することを目的とした。 実験には代表的な動脈硬化症モデルマウスであるアポリポプロテインE欠損マウスを用い、運動には15週間のランニングホイールによる自発運動を使用した。運動期間終了後、マウスから心臓、大動脈および血液を採取し、動脈硬化の形成はオイルレッドO染色、大動脈のオートファジーはウェスタンブロット、血中のサイトカインおよびケモカインはサイトカイン定量抗体アレイ、血中コレステロールはHPLCでそれぞれ評価した。その結果、12週間の自発運動は動脈硬化の発症を有意に抑制した。大動脈のオートファジー関連タンパクの発現は、安静群に比べ運動群の方が有意に低かった。血液中のサイトカインは、検討した40種のサイトカインおよびケモカインのうち、1種類のサイトカインと2種類のケモカインが運動により顕著に低下した。血中コレステロールは安静群に比べ運動群の方が低値を示したが有意差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書では、運動はオートファジーを促進すると仮説していたため、オートファジーを抑制する薬剤の投与を計画していた。しかしながら、仮説とは異なりオートファジーは抑制されたため、オートファジーを抑制する薬剤の投与実験は不要となった。仮説とは反対の結果ではあったが、得られたデータは極めてクリアであり興味深い。また、申請書で計画した実験は、前述の薬剤投与実験を除くほぼ全てが遂行されているため、研究はおおむね順調に伸展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1)大動脈で観察されたオートファジーの局在、2)運動がオートファジーを調節する因子の同定と情報伝達経路の解明を進めたいと考えている。
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