2014 Fiscal Year Research-status Report
加速情報を用いた子どもの質的活動評価法の開発~自然と活発になる屋内空間への提言~
Project/Area Number |
26560411
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
水村 真由美(久埜真由美) お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (60292801)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 子ども / 加速度 / 日常生活 / 基本動作 / 三次元動作解析 / 活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、年長児童および小学校低学年児童男女10名(平均年齢6.5±1.2歳)を対象に、児童が日常生活の中で行う基本的な動作についてモーションキャプチャーシステムを用いて三次元動作解析を行った。対象とした動作は、床からの立ち上がり動作、自然歩行、自然走行、10および30cm高の台からのドロップ着地とした。被験者の身体に67個の反射マーカーを装着し、8台のデジタルビデオカメラにより250Hzにて動作を撮影した。得られたマーカーの位置座標から三次元動作解析システム(Kwon3D)を用いて、動作中の腰部(腰椎4番と5番の間)、右手関節外側、右足関節外果の変位および加速度を算出し、動作および身体部位による加速様相およびその最大値を比較した。同時に動作中の地面反力も記録した。その結果、30㎝高の台からのドロップ着地での手関節の加速が最も大きく、ついで10㎝高の台からのドロップ着地、自然走行、自然歩行の順となった。着地動作については、右手関節および足関節外果の加速様相が類似し、体幹の加速は小さい値を示した。自然走行については、体幹部および手関節の加速様相が類似し、ほぼ同水準を示したが、足関節外果は小さい値を示した。自然歩行については、足関節外果の加速が体幹および手関節に比べて高値を示した。本年度の調査より、児童の日常生活にみられる基本動作は、体幹、上肢の遠位部である手関節、下肢の遠位部である足関節外果では、異なる加速要素を示した。従来、身体活動量の評価には、体幹部の加速度情報を用いる場合が多いが、子どもにおいては、動きの動的特性を加速度から評価するためには、動作毎に検討する必要性があることが示唆された。本年度の結果から、加速度センサーを装着して、自由な運動遊びによる活動量を実験空間の中で記録する場合には、複数個のセンサーから子供の活動量を検討する必要性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年少児童を対象としたモーションキャプチャー実験において、加速度センサーの使用を予定していたが、動作解析に用いる複数の反射マーカーと加速度センサーを同時に装着して、児童に自然な動作を行ってもらうことが困難であったことから、モーションキャプチャーから得られる位置情報を用いて、身体各部位の加速様相を評価することとした。年少児童を対象とした動作解析は、四肢が大人に比べて短いなどによる解析の困難さは生じたものの、おおむね当初予定していた実験を実施することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度得られたデータの個人特性を検討するとともに、次年度の実験空間において、自由に活動を行った際の身体活動量を加速度センサーを用いて行う調査の準備を行う。本年度と同様、幼児および小学校低学年児童に、実験空間における調査に協力してもらう関係から、早期に研究協力者を募るとともに、今年度経験したような子どもを対象とした場合に特異的に生じる実験実施および解析上の問題点を早期に具体化し、その解決策を検討したうえで、円滑に調査を進められるよう周到な準備を行う。
|