2014 Fiscal Year Research-status Report
学童期を対象としたロコモ予防のための複合型プログラムの構築に関する基礎的研究
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26560417
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (40178885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
鶴田 来美 宮崎大学, 医学部, 教授 (30258983)
奥田 豊子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90047308)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学童期 / 運動器症候群 / しゃがみ込み不全 / 食生活 / 生活習慣 / 食事調査 / 心身の健康度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学童期からのロコモ予防対策として、宮崎県内で2007年度から実施している運動器検診に「食生活・生活習慣調査」と「心身の健康度調査」を実施して、運動器症候群の背景・要因を解明すること、ならびに対象群に応じた複合型プログラムを構築することである。 本年度の計画は大別して(1)運動器検診の実施、(2)「食生活・生活習慣調査」と「心身の健康度調査」質問票の検討と実施、解析であった。 (1)運動器検診に関しては、県内の小学1年生~中学3年生まで、8,756名(男子4,471名、女子4,285名)実施した。この中で、「しゃがみ込み不全」が6%(533名)、「異常」が17%(1,456名)見られた。「しゃがみ込み不全」の地域差はみられなかった。「異常」の項目で多いのは脊椎変形、下肢の変形などであった。 (2)「食生活・生活習慣調査」については、研究代表者が今まで実施してきた質問紙と国内で広く活用されているBDHQ10y、BDHQ15yとの整合性を検討して43項目を設定した。「心身の健康度調査」については、先行研究に則り自尊感情測定尺度(東京都版)、子どもQOL尺度等の検討を重ねた。本年度の調査協力の得られた小学校3校(男子101名、女子92名)においては、運動器症候群の該当者が少なかったこと、肥満傾向児も少なかったこと、学童期においても「運動過多群」と「運動過少群」の2極化していることから、「からだを動かすことが楽しい」という設問を切り口として検討した。「からだを動かすことがとても楽しい」群では、男女ともに「体のことを考えて食事をする大切さ」や「どのような食事が体によいか知りたいと思う」などの「食生活や栄養」についての意識が高い傾向が見られた。今後、詳細な解析に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画である(1)運動器検診の実施については、研究分担者である帖佐悦男教授、鶴田来美教授のご尽力により、8,756名の検診ができていること、(2)「食生活・生活習慣調査」と「心身の健康度調査」質問票の検討については、研究分担者の奥田豊子教授らとの議論を重ね「おおむね順調に進展している」と言える。私自身も運動器検診に数回立ち会い、1グループ5~10名に分けて100名~300名の子ども達の運動器検診を短時間で実施するためのマンパワーと診断技術の重要性を認識できた。さらに、子ども達の「手が上に伸ばせない」、「しゃがみ込めない」等の実態を目の当たりにして、本研究の重要性を確信した。さらに、養護教諭の先生から、子ども達の生活習慣についても話しを伺うことができた。 しかしながら、運動器検診については例年新学期開始と共に実施するために、その実施計画についてはすでに前年度に決定していたこと、「食生活・生活習慣調査」質問紙の検討にも時間を要して、運動器検診の実施時期と合わなかったこと、更に調査費用の面から、調査対象校を抽出する必要があったことなどから、十分な実施協力校を得ることができなかったことは次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動器検診における「しゃがみ込み不全」について、2014年結果について学校別に検討を行ったところ、小学校では1.0~10%であるが、中学校になると20%を超える学校も散見された。そこで、今年度は、対象を中学校、特に「しゃがみこみ不全」の高値であった中学校を対象に「食生活・生活習慣調査」と「心身の健康度調査」を実施する。さらに、養護教員からの聞き取り調査も実施する。データの解析においては、スポーツ系のクラブ活動の有無や、クラブ活動の種類・内容と運動器障害の関連、食生活・生活習慣、栄養素摂取量との関連を解明する。調査協力校においては、対象学年向けの「健康教室」の開催も計画しており、対象者に応じた複合型プログラムの試案作成を行う。更に本結果を踏まえて、現代の子ども達の「運動器障害」、「食生活・生活習慣」、「心身の健康度」の実態と課題について、養護教員や保護者への啓蒙を図る活動を広げる。 また、家庭科における食生活領域への提言や調理実習における食生活改善のポイントなども考えていきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究計画においては、運動器検診の実施と「食生活・生活習慣調査」、「心身の健康度調査」の質問紙調査の再検討を中心に行った。そのために、運動器検診については帖佐先生、鶴田先生の予算によるところが大きく分担金の使用がなかったこと、質問紙の検討については、研究分担者との協議のために予算の執行がなかったこと、更に質問紙調査協力校の規模が小さかったために、BDHQ10y食事質問票の購入費用が当初の予定額よりも少なく、併せてデータ入力等の人件費も抑制されたことが大きな要因である。さらに、当初購入を予定していたマルチ周波数体組成計(タニタ MC-780A)では、大規模検診時の学童の測定には検討が必要との助言から、購入を見送ったことも要因の一つである。代わりに複合型プログラムで使用する食育SATシステムのバージョンアップ費用が高額であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は「食生活・生活習慣調査」、「心身の健康度調査」の質問紙調査もすでに700名を予定しており、このためのBDHQ10y、BDHQ15yの購入費用ならびにこのデータ入力費用の支出がかなり見込まれる。また、秋には複合型プログラムの試案実施を予定しているため、補助者への謝金等が見込まれる。さらに、研究組織として、連携研究者2名を研究分担者に変更予定であり、研究分担者への配分額が増えることになるので、その増額分にも使用予定である。
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