2014 Fiscal Year Research-status Report
モジュール型ポリケタイド合成酵素のリプログラミングによる非天然型新規化合物の創出
Project/Area Number |
26560428
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淡川 孝義 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80609834)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生合成 / ポリケタイド合成酵素 / 生合成工学 / 合成生物学 / ポリエン化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
モジュール型ポリケタイド合成酵素(I型PKS)の生成物には医薬品シード化合物が数多く含まれるため、その改変酵素を創出し、新規化合物を取得することは創薬にとって有益である。抗真菌活性を示すポリエン化合物、Mediomycin、ECO-02301等の骨格構造は互いに類似しているものの、水酸基、二重結合の位置、ポリケタイド鎖の長さ等が異なる。こうした構造の違いは酵素の触媒ドメイン、モジュール構造の差異によって生じ、これは、水平伝播、相同組替えに基づいたPKS遺伝子の進化によって生み出される。本研究では、複数のポリエン合成酵素触媒ドメインの比較検討に基づき、ポリケタイド生合成アセンブリーラインの分子多様性創出の法則性を明らかにする。さらに遺伝子の人為的組み換えにより、非天然型新規ポリエン抗生物質の生産に挑戦する。 これまでにMediomycin合成PKS遺伝子の放線菌宿主での発現ベクターpCC01を構築した。接合伝達によりベクターを放線菌宿主にベクターを導入した。宿主には遺伝子操作が容易で、大規模なゲノム欠損株であり二次代謝産物の合成に適したStreptomyces avermitilis SUKA22株を用いた。種々の培地にてベクター保持放線菌を培養することで生成物が蓄積されるか、HPLCによる分析が進行中である。また、化合物の醗酵生産により大量調製し、それらをLC-MS分析、NMR分析することによって、polyene化合物の構造決定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにMediomycin合成PKS遺伝子の放線菌宿主での発現生産などが、計画通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエン化合物mediomycin、ECO-02301合成に関わるI型PKS遺伝子の各触媒ドメインの系統樹解析を行うことによって、DHn-KSn+1のドメインが一つのセットとなって相同組替えが起こる新規機構を提唱した。この機構に基づいて、DHn-KSn+1を一単位としてモジュール構造を組替える。具体的には、medPKS DH6-KS7とDH8-KS9の入れ替え、medPKS DH19-KS20の欠損を行い、ECO-02301型の水酸基、ペンタエンの部分構造を持つ非天然型mediomycinの生成を試みる。酵母での遺伝子クローニングはスフェロプラスト法を、大腸菌での遺伝子組換えはRED-ET法、放線菌への遺伝子導入は接合伝達を用い、生成物をLC-MS、NMR分析によって同定する。また、多様なpolyeneの生合成遺伝子を明らかにし、更なる遺伝子改変に用いる。 変異型mediomycin合成PKS遺伝子の発現による新規化合物創出。medPKS DH6-KS7とDH8-KS9の入れ替え、medPKS DH19-KS20のPKS遺伝子からの欠損を行い、変異型PKS遺伝子を創出し、水酸基、二重結合の構造が変化した非天然型mediomycinの生成を行う。得られた改変型mediomycin合成遺伝子クラスターを持つベクターを放線菌に接合伝達を用いて導入し、化合物の醗酵生産を行う。生成物を大量調製し、それらをLC-MS分析、NMR分析することによって、新規polyene化合物の構造決定を行う。 Mediomycin類似のpolyene化合物は、tetrafibricin、lienomycinが存在する。これらのスターター基質は同じであるが、構造は二重結合、水酸基の位置、数がそれぞれ異なる。生産菌のゲノム情報を解読することで、それぞれのPKS遺伝子配列の差異を見出し、その相違点から更なるモジュール構造の組換えを行うことができる。これらの構造を合成する酵素遺伝子群をmediomycin生合成経路と組み合わせることによって更なる多様な類縁体を合成する。
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Causes of Carryover |
試薬など消耗品、物品費等の執行に多少余裕があり、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、試薬など消耗品、物品費に充当する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Calyculin biogenesis from a pyrophosphate protoxin produced by a sponge symbiont2014
Author(s)
Wakimoto, T., Egami, Y., Nakashima, Y., Wakimoto,Y., Mori, T., Awakawa,T., Ito, T., Kenmoku, H., Asakawa, Y., Piel, J., Abe, I.
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Journal Title
Nature Chem. Biol.
Volume: 10
Pages: 648-655
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Crystallization, and preliminary X-ray diffraction analysis of AntE, a crotonyl-CoA carboxylase/reductase from Streptomyces sp. NRRL 22882014
Author(s)
Zhang, L., Chen, J., Mori, T., Yan, Y., Liu, W., Abe, I.
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Journal Title
Acta Crystallogr., Sect. F: Struct. Biol. Cryst. Commun.
Volume: 70
Pages: 734-737
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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