2015 Fiscal Year Research-status Report
反応性アフィニティータグを用いた蛋白質標識・精製・検出法の開発
Project/Area Number |
26560439
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
どど 孝介 国立研究開発法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 専任研究員 (20415243)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光標識 / タンパク質 / ペプチド / アフィニティー精製 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケミカルバイオロジー分野において、生物活性化合物の結合タンパク質の同定、さらにその結合部位の同定は、その作用機序解明のために重要な情報を与える。そのため、生物活性化合物の活性を損なうことなく導入可能なタグが必要である。本研究では蛋白質標識官能基・アフィニティー精製タグ・検出官能基の3つの機能を一つのタグで併せ持つ「反応性アフィニティータグ」を開発することで、本命題の解決を目指す。 昨年度は標識官能基と検出官能基の機能を併せ持つ蛍光標識化タグに関して、その精製システムの検討を行い、モデルペプチドでの検討ではあるが蛍光標識化されたペプチドを精製することに成功している。そこで本年度は本システムを結合部位が未知の生物活性化合物へと適用し、その結合部位同定を試みた。その結果、更なる検証が必要ではあるが、結合部位候補の同定に成功した。 さらに、昨年度見出すことができた特定の金属錯体に対して錯体形成能を持つ官能基に関して、既知の酵素阻害剤へと組み込んだプローブを設計・合成し、その標的となる酵素に反応させた後に、その結合部位ペプチドをアフィニティー精製できるかどうかを検討した。その結果、固相担持された金属錯体を用いることで、結合部位ペプチドの効率的な精製に成功し、その結合部位が酵素の触媒中心に相当することを検証することができた。この結果は、本官能基が新しいアフィニティー精製タグとして使用可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はモデルペプチドを用いた実験系と同時に実際の結合タンパク質を使用し、これまでに開発してきたタグが実際に結合部位同定に使えるかどうかを検討した。その結果、蛍光標識化タグに関しては未知の結合部位の同定に成功し、金属錯体を利用したアフィニティー精製法でも予想される結合部位が確かに精製されることがわかった。以上の結果は、昨年度までペプチドを中心にして検討してきたものがタンパク質へと適用可能であることを示唆しており、最終年度に向けて計画通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討結果をもとに、最終目的として細胞から生物活性化合物の結合タンパク質の同定、結合部位の同定まで挑戦する。その際には、まずは数種の精製タンパク質を混合したものに対して条件検討を行い、様々な問題点を洗い出した上で、実際の細胞の系へと進める。また生細胞に対して結合タンパク質の同定を進める場合にも、状況に応じて細胞抽出物を使うなどして、実験系の複雑さをコントロールしながら条件検討を進める。
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Causes of Carryover |
モデルタンパク質に研究室がすでに保有する精製タンパク質が使用できることがわかり、その購入費用を節約することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は細胞からの結合タンパク質の同定を進めるために非常に高価な担体の購入ないしは受託による合成が必要となる。次年度使用額を合算使用することで、この費用に充てたい。
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