2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560440
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三谷 恭雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (10358103)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発光生物 / ルシフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
発光生物の光は古くから科学者のみならず多くの人を魅了してきた。発光生物は多様であり、およそ700属に及ぶとされ、特に陸棲動物では甲虫など多くの種で発光の分子機構が解明されいる。その一方で、700属のうち8割は海棲だと言われるが、ほとんどのものが手つかずのまま残され、そこに新規発光分子機構の発見の可能性がある。そこで本研究では、未解明海棲発光動物の発光の分子機構解明を目指している。 19 世紀末に Dubois が生物発光の基本原理を発見し、発光に関与する基質・酵素を総称としてルシフェリン・ルシフェラーゼと名付けて以来、発光甲虫や発光細菌を用いた科学的な研究が進展した。陸棲の甲虫ではホタル、ヒカリコメツキムシ、鉄道虫など多様な種について、欧州、 アジア、北中南米など幅広く収集され、発光における分子機構が明らかにされている。海棲動物においては刺胞、環形、軟体、節足、棘皮動物など幅広い動物群において、それぞれ数万におよぶ大量の個体から10種類以上のルシフェラーゼが精製され生化学的解析により、甲虫にはみられない多様性が示唆されている。このことから海棲発光生物には新規な発光分子機構の存在が示唆されるが、遺伝子の同定やタンパク質構造解析といった分子機構に関する報告がある種は限定的である。 本研究では複数の海棲発光生物をターゲットとしているが、今年度は、発光ゴカイの試料採集が予想以上に順調だったことから、発光ゴカイについて重点的に取り組んだ。発光ゴカイ粗抽出タンパク質からルシフェラーゼ活性画分を回収し、電気泳動にてほぼ均一のバンドが確認できる程度の精製度を確認した。さらに、そのアミノ酸配列の一部も解析済みであり、遺伝子クローニングに向けた準備が整ったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海棲発光生物は、いくつかの種を除いて大量に試料を採取することが難しいが、今年度は運よく、いい状態の発光ゴカイをまとまった量で確保できた。そのために、精製度のよいタンパク質試料が確保でき、アミノ酸解析の成功に至ったと考えている。遺伝子クローニングが最終目的ではあるが、そこに向けて必要不可欠な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
複数種の海棲生物をターゲットとして継続して研究を進めるが、目的達成により近づいている発光ゴカイにより多くのリソースを投入して、出来る限り効率的な研究推進に努める。
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Causes of Carryover |
ルシフェラーゼの解析の進展が当初見込みより順調であっため、タンパク質精製・解析に要すると見込んでいた物品費をかなり低く抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子クローニングをより効率的に進めるために一部、外注等の検討も進めている。
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