2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26560440
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三谷 恭雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (10358103)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発光生物 / ルシフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
発光生物は700属におよぶ生物に見られる極めて多様性の高い現象であるが、そのうち8割を占めるとされる海棲の発光生物に関しては未解明なものが多い。海棲動物においては、幅広い動物群において、それぞれ数万におよぶ大量の個体から10種類以上のルシフェラーゼが精製され生化学的解析がなされ、陸棲の発光生物には見られない多様性が示唆されている。こうしたことから、海棲発光生物には新規な発光分子機構の存在が示唆されるが、詳細な分子機構に関する報告がある種は限定的であった。しかしながら、詳細な発光機構が未解明なまま残された発光生物は、一部の例外を除き、少数の個体しか入手できない。このため、限られた個体数から効率的に研究を進める方法が求められていた。本研究においては、主に、発光ゴカイの発光分子機構の解析を進めた。採取した発光ゴカイのルシフェラーゼ抽出液を回収・分離し、アミノ酸配列の同定を行い、部分的な配列情報を取得した。並行して発光ゴカイ抽出物からRNA-seq解析を行った。得られたデータをもとに網羅的なcDNAの情報を取得した。このcDNA情報をもとに、上述のアミノ酸配列に対するBLAST検索を行いヒットするただ一つのcDNA配列を取得した。その翻訳産物の分子量はルシフェラーゼ抽出液から分離したタンパク質の分子量とほぼ合致した。このことから、得られたcDNAの配列がルシフェラーゼ抽出液由来タンパク質をコードする遺伝子である可能性が示唆された。次に得られた遺伝子配列をもとに、発現ベクターを構築し、組換えタンパク質の生産を行った。得られた組換えタンパク質粗抽出液とゴカイ発光基質抽出物を混合したところ、発光が確認された。また、この組換えタンパク質による発光スペクトルを確認したところ、発光ゴカイそのものによるスペクトルと完全に一致し、510 nmに発光のピークを持つことが確認できた。
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Research Products
(3 results)