2014 Fiscal Year Research-status Report
X線照射下で抗癌活性を発現するスマートドラッグの開発
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26560446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田邊 一仁 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40346086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線照射 / ジスルフィド結合 / ドラッグキャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
「薬剤が疾患部位だけで選択的に効果を発する」ことは、理想的な治療薬の形である。この問題の解決法の一つとして、着目されている手法がドラッグターゲティングである。この手法は、薬物を病変した部分にだけ選択的に運搬して、そこで機能させることで副作用を減らすとともに、治療効果を飛躍的に上げようとするものである。本研究では、放射線活性化型プロドラッグ開発の一環として、外部刺激としてのX線照射に応答して薬剤を放出するナノドラッグキャリアシステムの構築を試みた。 従来までの研究から、ジスルフィド結合をもつ各種化合物の水溶液にX線を照射するとジスルフィド結合が還元的に切断されることを見出している。そこで、本研究では、このジスルフィド結合のX線開裂反応を応用して、X線照射によって崩壊するナノキャリア分子を開発した。具体的には、オクタデカン基を疎水部、3量体のオリゴDNAを親水部とし、これらをジスルフィド結合で結んだOcta-DNAを両親媒性化合物としてデザインした。Octa-DNAをDNA自動合成機を用いて合成した後、HPLCを用いて精製した。化合物の生成はMALDI-TOF MSにより確認した。 Octa-DNAのX線照射による分解を調べた。Octa-DNAの水溶液にヒドロキシルラジカル捕捉剤として2-methyl-2-propanolを添加し、X線を照射したところ、速やかに分解されたことがわかった。この結果は、Octa-DNAがX線活性化型のドラッグキャリアになり得ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りX線照射によって活性化されるプロドラッグ候補化合物の合成を進めた。大量の薬剤を一度に放出する分子システムとして、X線照射によって崩壊するドラッグキャリアの合成と評価を進めた。当該キャリアが効率よくX線による還元反応を受けて崩壊することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きプロドラッグ候補化合物の合成と評価を進める。機能が確認できた化合物から細胞および動物を用いた機能評価を行う。
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Research Products
(2 results)