2014 Fiscal Year Research-status Report
Safety-catch型ケージド核酸の開発とマイクロRNAの発現制御
Project/Area Number |
26560452
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 教授 (90231571)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ケージド化合物 / ビオチン / ペプチド核酸 / DNA / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
標的細胞内だけで生理機能を発現するような新規ケージド化合物を開発し,マイクロRNA(miRNA)の発現制御への応用の可能性を明らかにすることを目的に研究を行っている。 ケージドmiRNAに未修飾のmiRNAが混在すると,光照射無しでも機能発現してしまうことから,二つの方法でこの問題の解決を図った。モデル分子として短鎖の一本鎖DNAを用いて,ビオチンを導入したケージンググループ前駆体(Bio-Bhc-diazo)によってケージングできること,導入したビオチンを利用して,生成したBio-BhcケージドDNAを未修飾DNAから分離精製できること,紫外光照射でBio-Bhc基が脱保護されることを確認した。また,塩基配列を認識するペプチド核酸(PNA)を導入したケージング試薬(PNA-Bhc-diazo)を用いると,近接効果によりケージング反応の効率が向上することも明らかにした。さらに,両者の特徴を併せ持つ新規ケージング試薬,Bio-PNA-Bhc-Diazoを設計・合成した。Bio-PNA-Bhc-Diazoを用いると,塩基配列選択的にDNAをケージングできること,ケージドDNAを分離精製できることを確認した。また,ケージング反応の効率もPNA部位を持たないケージング試薬より向上することを明らかにした。現在,ケージドRNAへの適用条件を検討している。 ケージドRNAに細胞種選択性を付与するため,特定の酵素存在下でのみ光活性化能を獲得すると期待されるケージンググループを2種類開発した。ケージドオリゴヌクレオチド合成への適用可能性を検討している。さらに,標的細胞に集中することを期待して,細胞表面認識分子を容易に導入できるケージンググループのケージドRNA合成への利用を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケージド化合物をモジュール化して,任意の細胞内だけで選択的に光活性化能を獲得するような,Safety-catch機能性部位を容易に導入できるプラットフォーム分子を構築することを目的にした。平成26年度は,(1)標的細胞選択的に光感受性を獲得するケージド核酸誘導体の合成法の確立と,(2)標的細胞内でのみ光活性化可能なSafety-catch型ケージドマイクロRNA合成への応用を目指した。各項目を実現するための要素技術として,各種機能を相乗的に付与可能なプラットフォーム分子の構築,および,ケージドオリゴヌクレオチドの効率的な調製法の確立を達成することはできた。しかし,当初計画で予定していたように,開発した要素技術を組み合わせて,細胞種選択的に光活性化できるケージドmiRNAの合成を平成26年度中に達成することはできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に開発したプラットフォーム分子だけでは,分子構造の制約から当初計画を達成するのに困難が予想された。そこで,組合せ化学的手法により,新しいプラットフォーム分子の探索を始めた。既にいくつかの候補分子を見出しているので,その分子修飾により,RNAの高効率ケージングと精製,細胞種選択的光活性化,および,標的細胞集中性を付与できる新しいケージドRNA合成への展開を目指す。
|
Causes of Carryover |
理由:合成した化合物の分離精製に使用しているクロマトグラフシステム関連の消耗品の使用量が,当初予定より少ない量で賄うことができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の予定額と合わせて,引き続き,合成した化合物の化学的性質の解析に使用する。
|