2015 Fiscal Year Annual Research Report
Safety-catch型ケージド核酸の開発とマイクロRNAの発現制御
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26560452
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 教授 (90231571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケージド化合物 / プロテアーゼ / ペプチド / 光化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内環境を認識して光活性化されるケージド化合物の設計と合成 新しいDDSの要素技術開発を目指して,光で鍵が外れて活性化されるケージド化合物に,標的細胞選択性を付与するような第2の「鍵」を付けて,「光照射」と「特異な細胞内環境」の2つの条件が揃ったときにのみ薬剤が放出されるような,Safety-Catch型ケージド化合物を設計・合成した。平成27年度は,標的細胞選択的に光活性化するための「鍵」のレパートリーを増やして,多様な細胞環境下で選択的に光活性化できるケージドRNAの合成法に展開することを目指した。標的細胞を見分ける「鍵」としてプロテアーゼを選び,カスパーゼ3の発現が上昇している細胞だけで光感受性を獲得することが期待される新規ケージド化合物7-DEVD-ACM-OAc(化合物1)を設計・合成することに成功した。7-DEVD-ACM-OAcがカスパーゼ3存在下ではテトラペプチドDEVD部位が脱保護されて,ACM-OAc(化合物2)を定量的に生成することを確認した。化合物1および2の光化学的および物理学的性質を検証したところ,化合物1にpH 7の緩衝溶液中で405 nm光を照射しても光反応しないのに対し,化合物2は405 nm光照射でアンケージングされることを確認した。以上の結果より,新たに開発した7-DEVD-ACMケージド化合物は,カスパーゼ3の発現が上昇した細胞内で,かつ,405 nm光を照射した時のみ生理活性分子を放出する,Safety-catch型のケージド化合物のレパートリーに一つといえる。第2の「鍵」であるペプチド部位のアミノ酸配列を変えることで,様々なプロテアーゼを標的にすることが可能なこと,修飾可能な可能基を持つ生理活性分子であれば,Safety-catch型ケージド化合物に適用できることが特徴である。
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