2014 Fiscal Year Research-status Report
高速トラッキング顕微鏡を用いた神経微小領域の活動計測
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26560459
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐基 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80580000)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像解析 / 実データ解析 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
自由行動している線虫の神経細胞微小領域からカルシウムシグナルを計測するため、これまでに開発した高速トラッキングシステムを使い、遺伝的にコードされた蛍光カルシウムプローブであるGEM-GECOをAIY介在神経細胞に発現させた線虫から蛍光画像を取得した。さらにその画像を解析するためのプログラムを開発し、視野内を動く神経細胞から神経突起部分を抽出することで、その蛍光輝度値の時系列を抽出した。このプログラムは蛍光画像から細胞体の中心を基準にして、特定の距離に応じて神経突起領域を特定し、神経突起に沿った蛍光輝度値を抽出するもので、時系列画像を処理することで神経突起上の蛍光輝度値変化を解析することができる。この解析プログラムは本研究で最も重要なツールであり、このプログラムが作成できたことにより、自由行動中の微小領域からの時系列シグナルを抽出できるようになり、今後の実験で重要となる蛍光輝度値の変化を詳細に計測することが可能となった。時系列画像から任意の場所を手動で抽出することは非常に労力が必要であり、プログラムにより自動抽出することで時間、労力、客観性が大幅に改善された。開発した解析プログラムは本研究を通して使われるもので、今後の実験を進める上で非常に重要である。また画像取得におけるオートフォーカスのプログラムを修正し、より安定した蛍光輝度値の計測ができるように改善した。神経突起は生体内で3次元的に複雑な形状をしているため、オートフォーカスや顕微鏡制御プログラムの改善は実験のスループットや精度、客観性を高めるために重要であり、これらの改善により、次年度以降に計画されている発展的な実験の基盤が整った。さらに、次年度から行う実験に先立ってマイクロ秒単位でON/OFF制御ができるLumencore照明を導入し、実験環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画通り、研究目的を達成するための解析方法を開発することに特に専念した。研究計画の記述にあった解析プログラムの開発や、画像取得技術の改善は、全研究計画を通して基盤となる重要事項であるため、研究期間の初期にこれらを整備することは目的達成において大いに意義がある。 生物実験における画像解析プログラムは、一般的に共通して使える機能と、特定の実験に焦点を合わせた機能を合わせ持ち、本研究で用いる解析プログラムもこれに当てはまる。ただし、本研究で得られる画像データは顕微鏡視野内を高速に動く対象を捉えたものであるため、これまでに類をみない実験データであり、本実験データに特化した解析方法の割合が大きい。そのため、実験装置の開発と同じかそれ以上に、画像解析プログラムの開発は重要であり、時間のかかる工程でもある。次年度以降に計画している個々の実験に合わせて、解析プログラムに改良を重ねることも計画に入っているが、その基盤となるための基本的な解析が確立できたことは評価に値する。さらに次年度からの実験で用いるマイクロ秒単位でON/OFF制御ができるLumencore照明を導入、整備した。次年度からの実験計画にあるオプトジェネティクスでは照明制御が非常に重要であり、パルス刺激などの光制御を正確に制御できるシステムを構築したことで次年度からの実験を円滑に進めることができるようになった。以上のことから、当初計画は順調に進んでおり、「おおむね順調に進展している」の自己評価を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、開発した高速トラッキングシステムで自由行動中の線虫を捉えながら神経細胞におけるカルシウムシグナル計測を実施し、同時に適切な照明制御を行うことでオプトジェネティクスにより目標とした介在神経細胞AIY周辺の神経活動に摂動を与え、その影響を解析する。オプトジェネティクスに用いるLumencore照明は計画を前倒して実装したため、光刺激実験を行う上でソフトウェア的な調整を進め、自由行動下という難しい条件での神経活動制御と計測を実現するための実験系確立を目指す。オプトジェネティクスによる神経活動制御をするための線虫株としては、目的とするAIY神経細胞自体にオプシンタンパクを発現させた系統を作成する。さらにAIYと接続している神経細胞の中で、行動制御に関わる神経細胞にもオプシンを発現させ、光制御することで、AIY介在神経細胞への影響や行動への影響も解析する。カルシウムイメージングと光制御を同時に行うことは波長や励起光の強度などの問題でさまざまな課題があるため、パルス光など照明の制御や、効率の良いオプシンタンパクの選択などの条件を検討することで最適な実験条件を探索する。特にChR2(C128S)は青色光でON、黄色光でOFFとなるチャネルロドプシンで、一秒程度の光を与えることで長時間のON状態になることが報告されているため、これらを使うことでAIY神経細胞の長時間の光活動制御を実施することが期待できる。神経活動の摂動に用いるオプシンはさまざまなものが開発されており、日々新しいものが報告されているので、いくつかの種類を試すことで適切なものを選択する。
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Causes of Carryover |
効率的な経費の利用をするために、消耗品などの消費量にばらつきのある物品の購入を無理やり年度内に収めず、次年度に持ち越すことで無理のない適切な購入をしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画にある線虫を用いたカルシウムイメージングやオプトジェネティクス実験を行うため、実験に必要なプレートや、培地を作成するための試薬を購入する費用に充てる。
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Research Products
(3 results)