2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規インバースタイプのカルシウムプローブを用いた抑制性神経活動測定法の開発
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26560461
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久下 小百合 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (50260104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルシウムプローブ / 神経活動 / 線虫 / インバース |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は、主に興奮と抑制の2種類のシナプス伝達を組み合わせて情報処理を行っている。神経細胞の活動を測定するために、各種蛍光カルシウムプローブを用いたイメージング解析が盛んに行われているが、現在主に使われているプローブは、興奮性の神経活動を鋭敏に捉えることに適しているのに対し、抑制性の神経活動を観察することは困難である。そこで、この研究では、高感度に神経活動の抑制を捉えることができるプローブを開発することを目的とし、具体的にはこれまでのプローブとは反対の性格をもつ、インバースタイプ(Ca2+濃度が低いと蛍光が強くなる)のカルシウムプローブを開発することにより、神経の抑制性シグナルの解析を可能にすることを目指した。 インバースタイプのカルシウムプローブとしてはインバースペリカムの存在が知られていたが、これまで神経活動の測定に用いられたことはなかった。そこで、これを実用可能にするために、インバースペリカムにランダムに変異を導入し、改変型インバースペリカムを各種作製した。 このうちのひとつ、IP2.0は励起波長が505 nm、蛍光波長520 nmで、カルシウムイオンの有無による蛍光の差がin vitroで20倍になっていた。この数値はこれまでの蛍光カルシウムプローブ、GCaMP3の蛍光強度変化率よりも大きいため、実際のイメージングでも十分利用可能であると考えた。 そこで、IP2.0を線虫の感覚神経細胞、AWCに発現させ、神経活動を測定したところ、神経活動の抑制に伴う蛍光強度の増加を観察することに成功した。この結果により、インバースタイプのカルシウムプローブを用いることによって、抑制性シグナルを鋭敏に検出できるのみならず、これまでの興奮反応を測定するカルシウムプローブと組み合わせることにより、神経活動の全体像を詳細に解析できる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)