2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560468
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飛松 省三 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40164008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 敏彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40448436)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 顔認知 / 無意識処理 / 両眼視野闘争 / 脳磁図 / サブリミナル知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的: 視覚認知研究は主として気づき・注意に伴う認知現象を扱うが、その処理は無意識的な様々な視覚情報処理に支えられ、非言語性コミュニケーションの基盤となっている。この潜在的な視覚情報処理の相互作用を解明するには、物理的には存在しているのに気づきを伴わない刺激呈示法を用いなければならない。本研究では無意識的顔認知過程に焦点を絞り、サブリミナル刺激と両眼視野闘争に対する神経活動を全頭型脳磁図で計測する。事象関連電位、神経オシレーション、脳部位間の相互作用をネットワーク解析する。サブリミナル知覚では無意識的なボトムアップ処理過程、両眼視野闘争では、意識の中身へのアクセスの脳内基盤を解明することを目指す。 実験方法: サブリミナル(subliminal, Sub)刺激と両眼視野闘争(binocular rivalry, BR)課題を用いた。前者では両眼に識閾下に与えた情報が無意識的かつボトムアップ的に処理される。後者では従来、持続的な刺激呈示により、単眼に別々に与えた2つの情報が交互に入れ替わって知覚される (sustained BR)。この知覚交替のタイミングはランダムであり、知覚交替に同期した神経活動をERPで捉えることは困難であった。我々は、Pittsら(2010) の報告を参照して、短時間の刺激呈示(<600 msec)により、刺激開始(onset)にほぼ同期したonset BR (ON-BR)が生じることを確認した。これによりMEGを用いたERP解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブリミナル刺激で両眼に識閾下に与えた情報が無意識的かつボトムアップ的に処理される過程を、ビームフォーマー法を用いて解析した。恐怖顔を提示すると扁桃体の活性化が刺激後150 msくらいで出現する実験結果を得た。これについては、検証中である。 Onset BRでは、コントロールとした偽性BR条件(単眼にそれぞれ顔や家が入力される)と比較してヒト顔に対する反応(M170)が、家やサル顔に比して、減弱しないことが分かった。また、M170は紡錘状回顔領域(FFA)で発生することが分かった。つまり、視野闘争がおこり、顔の見えが意識に上るときは、FFAが活動することにより、意識に上ることが分かった。現在、院生に論文をまとめさせ、PLOS ONEに投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
両眼視野闘争を用いた顔認知が意識に上るまでの過程をMEGで捉えることができた。今後は、その時のγ振動を計測し、顔認知特異的な神経振動の活動を可視化し、脳内ネットワークの探索を進めてゆきたい。また、サブリミナル刺激では、恐怖顔による扁桃体の活動が認められたので、半側視野刺激により左右のV1を別々に刺激して、顔処理に関するV1及びV4の左右の機能差を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
脳磁図を使った実験は、他の実験者もいるため、予約制である。できるだけ計画的に実験を遂行する予定であったが、年度末の1~3月にかけては、他の実験者が脳磁図を使う頻度が多く、予約できなかった。このため、H27年度初めに実験を行うことを決めた。そのため、残額が生じて繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度初め(4月)に実験を行うことにした。残額は42000円程度であり、消化するのに問題は全くない。
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